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親が施設に入った、亡くなった、あるいは高齢になって家の管理が難しくなった。そんなきっかけで、急に「実家をどうするか」を考えることになった方も多いはずです。
親の家をそろそろ片付けないと、と思っているんです。でも物は多いし、手続きも分からなくて、何から手をつければいいのか…。
その気持ち、よく分かります。実家じまいは「片付け」「売れる物の現金化」「家をどうするか」「手続き」の4つに分けると、ぐっと見通しが良くなりますよ。
結論から言うと、実家じまいは片付けから始める作業ではありません。最初にやるのは「大事な物を探すこと」と「家族で方針を決めること」です。
この記事では、実家じまいの全体の流れと順番、費用の考え方、期限のある手続きまでを、最初から最後まで順に見ていきます。
実家じまいって、どこまでやれば終わりなの?
実家じまいという言葉に、はっきりした定義があるわけではありません。ただ、一般的には「親の家を片付けて、家そのものの行き先を決め、手続きを終えるまで」を指すことが多いです。
『片付けが終われば一段落でしょう?』と思うかもしれません。実は、片付けは全体の半分くらいなんです。
家の中の物を片付けるだけでなく、売れる物を現金化し、家を売る・解体する・貸す・残すのどれかに決め、相続登記や解約の手続きまで終えて、ようやく一区切りです。
言葉の意味をもう少し詳しく知りたい方は、実家じまいとは何をすることか(家じまい・生前整理との違い)もあわせて読んでみてください。
| 段階 | 中身 | 主に関わる相手 |
|---|---|---|
| 探す・決める | 通帳・権利証・保険証券などを探す/家族で方針を話し合う | 兄弟・親族 |
| 片付け・遺品整理 | 残す物・形見・売る物・捨てる物に分ける | 家族、片付け業者、市区町村 |
| 家財の売却・処分 | 売れる物は買取へ、それ以外は粗大ごみやリサイクルへ | 買取店、自治体、許可業者 |
| 家をどうするか | 売却・解体・賃貸・空き家のまま管理 | 不動産会社、解体業者、市区町村 |
| 手続き | 解約・名義変更・相続登記・税の申告 | 法務局、税務署、各契約先 |
この5つは、きれいに順番どおり進むものでもありません。片付けをしながら不動産会社に相談したり、相続の話し合いと並行して遺品を仕分けたりすることもよくあります。
「実家の処分」とは何が違う?
「実家 処分」「親の家を処分」と検索されることも多いですよね。処分という言葉は、主に家や土地を手放すことを指して使われます。
実家じまいは、その手前の片付けや、手放した後の手続きまで含めた、もう少し広い言い方だと考えておくと分かりやすいです。
家の中の物と家そのもの、どちらを先に考える?
『片付けが終わるまで、家のことは考えなくていいかな』と思う方も多いです。ただ、家を売るのか解体するのかで、片付けのやり方が少し変わってきます。
たとえば、そのまま売るなら引き渡しまでに家の中を空にする必要がありますし、解体するなら家財が残っていると解体の見積もりに影響します。片付けを本格的に始める前に、家の行き先の方向性だけでも話しておくと、二度手間が減りますよ。
始める時期はいつがいい?3つのきっかけ別の進め方
実家じまいを始めるきっかけは、だいたい次の3つに分かれます。どのきっかけかで、急ぐことと、ゆっくりでいいことが変わってきます。
親はまだ元気なんですが、今から実家じまいの話をするのは早すぎるでしょうか。
早すぎることはありませんよ。親が元気なうちなら、何を残したいかを本人に聞けるのが大きいんです。
| きっかけ | 進め方の特徴 | 先に気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 親が元気なうち | 親と一緒に物を減らせる。急ぐ必要がない | 本人の気持ちを優先し、少しずつ進める |
| 親が施設に入った後 | 家は親の名義のまま。親の意思を確認しながら進める | 売却は名義人である親の判断が前提になる |
| 親が亡くなった後 | 相続の手続きと片付けが重なる | 相続放棄を考えるなら、家財の処分は先に相談 |
親が元気なうちに始める場合
元気なうちの実家じまいは、いわゆる生前整理に近い形です。「いつか困らないように、一緒に少しずつ物を減らそう」という切り出し方が、受け入れてもらいやすいようです。
物を捨てられない親には、それなりの理由があることがほとんどです。進め方は親が元気なうちの実家じまいでくわしく紹介しています。
親が施設に入った後の場合
施設への入居で実家が空き家になるケースです。家の名義は親のままなので、売る・貸すといった判断は、親本人の意思が前提になります。
親が自分で判断することが難しくなっている時は、家を売る手続きに家庭裁判所が関わることもあります。気になる方は親が自分で判断できない時の実家売却を確認してみてください。
親が亡くなった後の場合
亡くなった後は、葬儀や役所の手続きと片付けが一度に押し寄せます。片付けは四十九日や一周忌など、家族が集まるタイミングに合わせて始める方も多いです。
ここでひとつ大事なのが、相続放棄を考えている場合です。家財を売ったり捨てたりすると、相続を受け入れたとみなされるおそれがあるので、処分の前に家庭裁判所や弁護士に相談しておきましょう。
実家が遠方にある場合
実家が遠くて、帰れるのは年に数回という方もいますよね。その場合は、帰省1回ごとに「今回はここまで」と目標を決めておくと、限られた時間を無駄にせずに済みます。
たとえば1回目は大事な物探しと家族会議、2回目は形見と売れる物の取り分け、3回目に業者の見積もりと立ち会い、という分け方です。帰省の回数を減らす工夫は遠方の実家じまいでくわしく紹介しています。
実家じまいの全体の流れを7つの段階で見る
ここからは、実家じまいの全体を7つの段階に分けて見ていきます。期間の目安は家の広さや物の量、通える頻度でまったく変わるので、順番だけ押さえておけば十分です。

- 大事な物を探す(通帳・印鑑・権利証・保険・年金・遺言書)
- 家族で方針を話し合う(家をどうするか・費用・役割分担)
- 残す物・形見を先に分ける
- 売れる物を査定に出す
- 残りの家財を処分する(自治体・許可業者・リサイクル)
- 家の行き先を決めて進める(売却・解体・賃貸・管理)
- 解約と名義の手続き、相続登記と税の申告を終える
ポイントは、3と4を5より前に置くことです。捨てる作業を先にすると、形見にしたかった物や、値段がつく物まで一緒に出してしまうことがあるんです。
やることを一つずつ確認したい方は、実家じまいでやること一覧でチェックリスト形式にまとめています。
期間はどのくらい見ておけばいい?
『半年くらいで終わるかな』と考える方もいますが、正直なところ人によって大きく違います。近くに住んでいて毎週通えるのか、遠方で年に数回しか帰れないのかで、かかる時間はまるで別物です。
ただ、相続放棄や相続税の申告、相続登記などには期限があります。片付けはマイペースでも、期限のある手続きだけは先にカレンダーへ書き込んでおきましょう。くわしくは実家じまいにかかる期間とスケジュールの立て方で紹介しています。
最初の1か月は「探す・話す・止める」に使う
いきなりゴミ袋を持って実家に行く前に、最初の1か月はこの3つに使ってみてください。あとから「あれがない」と慌てることが、ぐっと減ります。
大事な物を探すって、具体的に何を探せばいいんですか?
お金と家に関わる書類が最優先です。通帳やキャッシュカード、権利証、保険証券、年金の書類あたりから探してみてください。
- 通帳・キャッシュカード・印鑑(銀行印・実印)
- 家と土地の権利証(登記識別情報)や固定資産税の通知書
- 生命保険の証券、年金手帳や年金の通知書
- 遺言書やエンディングノート
- 公共料金・電話・新聞などの契約が分かる請求書
- 貴金属や時計など、価値がありそうな物の保管場所
家族で話しておきたいこと
探し物と同時に、兄弟や親族と最初の話し合いをしておきましょう。決めることは多くありません。
「家は売るのか、残すのか、まだ決めないのか」「費用はひとまず誰が立て替えるのか」「誰がどの作業を担当するのか」の3つが決まれば、まずは動けます。
話し合いの場では、こんな言い方をすると角が立ちにくいです。
「全部を今決めなくていいから、来年の春までに家をどうするかだけ決めようか」
鍵と戸締まりの管理も決めておく
空き家になった実家は、誰が鍵を持つのかも決めておきましょう。兄弟がそれぞれ出入りするなら、合鍵の数と持っている人を共有しておくと安心です。
作業の後は、窓や勝手口の戸締まり、ガスの元栓、ブレーカーなどを確認する習慣をつけておくと、離れていても気持ちが楽になります。
止める・転送する手続き
空き家になったまま契約が残っていると、基本料金がかかり続けることがあります。電気・ガス・水道・電話・新聞などは、使う予定を決めてから止めましょう。
郵便物は、郵便局に転居届を出しておくと便利です。日本郵便の案内では、届け出た日から1年間、旧住所あての郵便物を新しい住所へ無料で転送してくれます(登録まで3〜7営業日ほど)。
窓口のほか、Webや郵便局アプリの「e転居」でも出せます。解約先の一覧は実家じまいの解約・手続き一覧が参考になります。
国の空き家の管理の指針でも、冬期に給水管の元栓を閉めることが日常の管理の例として挙げられています。寒い地域の実家は、水道を止めるか元栓を閉めておくと安心です。
家の中の片付けと遺品整理はどう進める?
ここからが、いわゆる実家の片付けです。「全部自分たちでやるのか」「業者に頼むのか」で迷う方が多いですよね。
実は、どちらか一方に決める必要はありません。仕分けは家族でやり、運び出しだけを頼むといった分け方もできます。
- 形見や写真、手紙など、気持ちが関わる物の仕分け
- 通帳や書類などの大事な物探し
- 売れそうな物の取り分け
- 自治体の粗大ごみに出せる量の処分
- タンスや食器棚など重い家具の運び出し
- 2階や階段の多い家からの搬出
- 短い期間で大量の物を出したい時
- 遠方で何度も通えない時
どこから手をつける?片付けの順番
『家じゅう物だらけで、どの部屋から始めればいいのか…』という方は、使っていない部屋から始めるのがおすすめです。納戸や2階の空き部屋など、今の暮らしに関係ない場所なら、迷わずに手を動かせます。
逆に、台所や居間など親が最後まで使っていた場所は、思い出が多くて手が止まりがちです。気持ちの準備ができてから、最後に回してもかまいません。
1日の作業は、「この押し入れ1つ」「この棚だけ」と小さく区切るのがコツです。家全体を見て途方に暮れるより、終わった場所が一つずつ増えていく方が、ずっと続けやすいんです。
業者に頼む時に気をつけたいこと
家庭から出るごみを回収できるのは、市区町村か、市区町村から一般廃棄物収集運搬業の許可を受けた業者、または市区町村の委託を受けた業者です。環境省も、許可のない回収業者に家庭の廃棄物を渡さないよう呼びかけています。
国民生活センターには、遺品整理サービスで「高額な追加料金が発生した」「処分しない予定の遺品が処分された」といった相談も寄せられています。地域の業者は、複数社から見積もりを取って比べるのが基本です。
- 市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可や委託があるか
- 見積もりは現地を見てもらってから出してもらったか
- 追加料金がかかる条件とキャンセル料が書面に書かれているか
- 残す物と処分する物を、家族の側ではっきり分けておいたか
頼み方の流れは遺品整理を業者に頼む時の流れ、自分たちで進めるコツは実家の片付けのコツで紹介しています。
自治体のごみ収集を上手に使う
自分たちで処分する分は、市区町村のごみ収集が基本です。粗大ごみは予約制のところが多く、一度に出せる数に上限がある自治体もあります。
まとまった量を出したい時は、自治体の処理施設に自分で持ち込める地域もあります。出し方や回数は市区町村ごとに違うので、まずはごみ担当の窓口やホームページで確認してみてください。大量のごみの出し方は実家じまいのゴミ出しでくわしく紹介しています。
家電やパソコンは出し方が別になる
エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目は、家電リサイクル法の対象です。粗大ごみには出せず、リサイクル料金と収集運搬料金を払って、販売店などに引き取ってもらいます。
パソコンはメーカーやパソコン3R推進協会が回収しています。それ以外の小型家電は、市区町村の回収ボックスなどで回収している地域もあります。くわしくは実家の家電の処分をどうぞ。
相続放棄を考えている場合、家財を売ったり捨てたりすると、相続を受け入れたとみなされるおそれがあります(民法921条)。どこまでなら手をつけていいかは事情によるので、片付けを始める前に家庭裁判所や弁護士に確認しておきましょう。
捨てる前に、売れる物があるか確かめておく
片付けが進むと、つい「全部まとめて処分してしまいたい」という気持ちになりますよね。その前に、ひと呼吸おいてほしいのが、売れる物の確認です。
古い物ばかりだし、売れる物なんてない気がします。
そう思われる方は多いんです。でも、指輪やネックレス、古い腕時計、着物、切手や古いお金などは、古くても値段がつくことがあります。捨てる前に一度だけ確かめてみてください。
売れる物を先に現金化しておくと、処分する量が減るうえ、片付けや解体の費用に充てることもできます。売れる物の見分け方は実家の片付けで売れるもの一覧でくわしく紹介しています。

| 品物 | 見落としやすい場所 | 確かめ方のコツ |
|---|---|---|
| 金・貴金属・宝石 | 鏡台の引き出し、仏壇の小引き出し | 壊れた指輪や片方だけのピアスもまとめて出す |
| ブランド品・腕時計 | 押し入れの箱、洋服ダンスの奥 | 箱や保証書などの付属品も一緒に探す |
| 着物・帯 | 桐の箪笥、衣装ケース | 帯や帯締めなどの小物も一緒に査定に出す |
| 骨董品・掛け軸・食器 | 床の間、納戸、贈答品の箱 | 価値が分からなくても箱ごと見てもらう |
| 切手・古銭・記念硬貨 | 文箱、机の引き出し、缶の中 | シートやケースのまま、ばらさずに出す |
どこで売ればいい?
売り先は、買取店、リサイクルショップ、フリマアプリなどがあります。物の種類や量、手間をかけられるかどうかで向き不向きが変わります。違いは実家の品はどこで売るかで比べています。
物が多くて持ち出せない時は、家に来てもらう出張買取も選べます。たとえばおたからやは、店頭のほか出張査定、無料査定フェア、フォームやLINEでの査定を案内していて、出張料・査定料・買取手数料はかからないとしています。
ブランド品や腕時計が多い時はブランドリバリュー、着物が多い時はまねきやといったように、品物に合わせて相談先を選ぶ方法もあります。細かい条件は、それぞれの公式サイトで最新の情報を確認してください。
フリマアプリで自分で売る方法もありますが、写真撮影や梱包、発送の手間がかかります。実家の品が多い時は、数点だけ試してみて、続けられそうか確かめてからにすると負担が少ないです。違いはメルカリで売る場合と買取店の違いで比べています。
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捨てる前に、実家の品の査定額を確かめる
金・貴金属やアクセサリー、ブランド品、時計、骨董品、古いお金なども、まとめて査定してもらえます。運び出しが大変な時は出張査定、まずは写真で聞きたい時はLINE査定も選べます。金額を聞いてから売るかどうか決めましょう。
査定料無料公式サイトで査定方法を確認する買取の対象や条件は品物によって変わります。最新の条件は公式サイトで確認してください。
形見分けと売る物、どちらを先に決める?
順番としては、形見分けを先にしておくのが安心です。売った後に「あの指輪、母の形見に欲しかった」と言われても、取り戻すのは難しいからです。
兄弟や親族には、「〇月までに欲しい物があれば言ってね。残りは査定に出すから」と期限を区切って声をかけておくと、後からの行き違いを防げます。分け方の決め方は形見分けの進め方を参考にしてみてください。
査定に出す前にそろえておきたい物
査定の時は、本人確認書類が求められるのが一般的です。ブランド品や時計は、箱や保証書、余りのコマなどの付属品もそろえておきましょう。
親の物を子が売る時は、条件によって委任状が必要になることもあります。たとえばまねきやでは、本人以外からの依頼で売却金額が200万円を超える場合に、委任状や身分証明書のコピーが必要と案内しています。
家に来てもらう時のルールも知っておく
自宅で品物を買い取ってもらう「訪問購入」には、特定商取引法のルールがあります。事業者は書面を渡す義務があり、書面を受け取った日から8日以内ならクーリング・オフができます。
クーリング・オフの期間中は、品物の引き渡しを断ることもできます。頼んでいないのに突然訪ねてきて買取を持ちかけることは、法律で禁じられています。
困った時は、消費者ホットライン188に電話すると、近くの消費生活センターなどの相談窓口につながります。
実家の家はどうする?売る・解体する・貸す・残す
片付けと並行して決めたいのが、家そのものの行き先です。空き家になった実家の処分には、大きく分けて4つの選択肢があります。
誰も住む予定がないなら、売るしかないんでしょうか。
売るのが一番すっきりすることは多いですが、解体して土地で売る、貸す、しばらく管理して残すという道もあります。家の古さや場所で向き不向きが変わりますよ。
| 選択肢 | 向いている家 | 主な手間 | 関わる相談先 |
|---|---|---|---|
| そのまま売る | まだ住める状態の家、買い手がつきやすい場所 | 査定、売却活動、引き渡し前の片付け | 不動産会社 |
| 解体して土地で売る | 傷みが大きい家、古家があると売れにくい土地 | 解体工事の届出、滅失登記 | 解体業者、法務局 |
| 貸す | 立地が良く、修繕すれば住める家 | 修繕、管理、入居者対応 | 不動産会社、管理会社 |
| 空き家のまま残す | 将来住む予定がある、まだ決められない | 定期的な換気・通水・点検、固定資産税 | 家族、管理の委託先 |

比べて決めたい方は実家を売るか住むか貸すか、売る流れは実家を売却する流れを読んでみてください。
解体する時に必要な手続き
床面積の合計が80㎡以上の建物を解体する時は、建設リサイクル法により、工事に着手する日の7日前までに、発注者が都道府県知事へ届け出ることになっています。
解体の前には、元請業者によるアスベスト(石綿)の事前調査も義務づけられています。建物を取り壊した後は、1か月以内に建物の滅失登記を申請する決まりです。
解体の流れは実家を解体する時の手順で順番に紹介しています。
空き家のまま放置するとどうなる?
総務省の令和5年住宅・土地統計調査では、2023年10月1日時点の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%で、どちらも過去最高でした。実家が空き家になるのは、決して珍しいことではないんです。
ただ、管理されずに傷んだ空き家は、市区町村から「管理不全空家」や「特定空家」として指導や勧告を受けることがあります。勧告を受けると、敷地の固定資産税の住宅用地特例(200㎡以下の部分は6分の1に減額)が外れてしまいます。
特定空家への命令に従わない場合は、50万円以下の過料の対象にもなります。くわしくは空き家の実家を放置するとどうなるかを確認してみてください。
空き家のまま残す時にやること
「まだ決められないから、しばらく残しておきたい」という選択も、もちろんありです。ただ、人が住まない家は傷みに気づきにくく、思った以上に早く傷んでいきます。
国の空き家の管理の指針では、定期的な換気や通水、郵便物の確認、庭木の枝の剪定などが管理の例として挙げられています。地震や大雨、大雪の後に点検することも大切です。
- 窓を開けて換気し、押し入れや収納の扉も開ける
- 水道を出して、排水口に水をためておく(においの逆流を防ぐ)
- 郵便受けを確認し、チラシや郵便物を片付ける
- 庭木の枝が隣の家や道路にはみ出していないか見る
- 屋根や外壁、窓ガラスに破損がないか確認する
遠方で通えない時は、管理の事業者や、市区町村が指定する空家等管理活用支援法人に頼む方法もあります。管理の手順は空き家になった実家の管理で紹介しています。
売れない時の選択肢
田舎の実家などで、なかなか買い手がつかないこともあります。その場合は、自治体の空き家バンクに登録する方法や、相続土地国庫帰属制度を使う方法もあります。
国庫帰属制度は、建物がある土地は申請できないので、家を解体してからの話になります。審査手数料は土地一筆あたり14,000円で、承認されたら負担金(宅地は原則20万円。市街化区域などの宅地は面積で計算)を納めます。
期限のある手続きを先にカレンダーへ
片付けや売却は、家族のペースで進めてかまいません。ただ、相続や税金、登記には法律で決まった期限があります。ここだけは後回しにしないでおきましょう。
相続放棄は3か月、準確定申告は4か月、相続税の申告は10か月、相続登記は3年。数え始めの日が手続きごとに少しずつ違うので、表で確認しておくと安心です。
| 手続き | 期限 | 窓口 | 覚えておきたい数字 |
|---|---|---|---|
| 相続放棄・限定承認 | 相続の開始を知った時から3か月以内(伸長の申立ても可) | 亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所 | 収入印紙800円(申述人1人につき) |
| 準確定申告 | 相続の開始を知った日の翌日から4か月以内 | 亡くなった人の納税地の税務署 | 1月1日から亡くなった日までの所得 |
| 相続税の申告・納税 | 亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内 | 亡くなった人の住所地の税務署 | 基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数 |
| 相続登記 | 不動産の相続を知った日から3年以内 | 法務局 | 正当な理由なく怠ると10万円以下の過料 |
| 建物の滅失登記 | 取り壊した日から1か月以内 | 法務局 | 解体した場合のみ |
| 空き家の3,000万円特別控除 | 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで | 税務署(確定申告) | 相続人3人以上は2,000万円まで |

相続登記は2024年4月から義務になった
2024年4月1日から、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をすることが義務になりました。それより前に相続して登記していない不動産も対象で、2027年3月31日までに登記が必要です。
登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%です。すぐに遺産分割がまとまらない時は、自分が相続人であることを申し出る「相続人申告登記」で、ひとまず義務を果たすこともできます。
ただし相続人申告登記だけでは家を売れないので、売る時は別に相続登記が必要です。くわしくは実家の相続登記の義務化をどうぞ。
実家を売った時の税金と特例
実家を売って利益が出ると、譲渡所得として税金がかかります。亡くなった親が1人で住んでいた家を相続人が売る場合は、空き家の3,000万円特別控除が使えることがあります。
ただし条件は細かく、昭和56年5月31日以前に建てられた家であること、マンションなどの区分所有建物ではないこと、売却代金が1億円以下であることなどが求められます。適用期限は令和9年12月31日までの売却です。
この特例は、家を取り壊してから土地を売る場合にも使えます。令和6年1月1日以後の売却なら、買主が売却の翌年2月15日までに耐震改修や取り壊しをした場合も対象です。
使う時は、家のある市区町村長から「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を受け、確定申告に添付します。売る前から確認書の窓口を調べておくと、慌てずに済みます。
条件の確認は空き家の3,000万円特別控除とはで、相続税は実家を相続したら相続税はかかるかでくわしく見ています。個別の判断は、税務署や税理士に相談してみてください。
相続税はかからないこともある
相続税と聞くと身構えてしまいますが、遺産の合計が基礎控除の範囲内なら、申告も納税も必要ありません。基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数です。
計算すると、法定相続人が1人なら3,600万円、2人なら4,200万円、3人なら4,800万円になります。実家の評価額と預貯金などを合わせて、この金額を超えそうかどうかを、まずはざっくり確かめてみてください。
実家じまいの費用は何で決まる?
「親の家の処分費用って、結局いくらかかるの?」というのは、多くの方が最初に気になるところですよね。
結論から言うと、片付けや遺品整理、解体の費用には、国などが出している公的な相場がありません。物の量や家の条件で大きく変わるので、内訳と見積もりの取り方で考えるのが近道です。
相場が分からないと、見積もりが高いのか安いのか判断できなくて不安です。
だからこそ、何にお金がかかっているのかを分けて見るのが大事なんです。内訳が分かれば、どこを減らせるかも見えてきますよ。
| 費用の種類 | 金額を左右する条件 | 減らすためにできること |
|---|---|---|
| 片付け・遺品整理 | 物の量、間取り、階段の有無、搬出経路、分別の手間 | 家族で仕分けを済ませる、売れる物を先に出す |
| 家財の処分 | 粗大ごみの量、家電リサイクル品の数、運ぶ距離 | 自治体の粗大ごみを使う、自分で持ち込む |
| 解体 | 建物の構造と広さ、アスベストの有無、残っている家財 | 家財を先に減らしておく、複数社の見積もりを比べる |
| 売却の諸費用 | 売却価格、測量や修繕の要否 | 査定は複数の会社に頼む |
| 登記・税金 | 固定資産税評価額、売却益、特例が使えるか | 使える特例と期限を早めに確認する |

見積もりは「比べられる形」でもらう
業者の見積もりは、1社だけで決めずに複数社から取るのが基本です。国民生活センターも、見積書の内容や追加料金、キャンセル料を事前に確認するよう呼びかけています。
- 残す物と処分する物を家族で決めておく
- 2〜3社に現地を見てもらって見積もりを依頼する
- 作業内容・追加料金の条件・キャンセル料を書面で確認する
- 内訳を並べて比べ、分からない項目は質問する
- 納得できた1社と契約する
費用の内訳や安くする方法は実家じまいの費用の内訳と見積もりの取り方でもっとくわしく紹介しています。
作業員の人数とトラックの大きさだけでは決まらない
知恵袋では「作業員2人、2トントラックでいくらくらい?」という相談も見かけます。気持ちはよく分かりますが、同じトラックでも、階段の有無や分別の手間、運ぶ距離で金額は変わってきます。
人数とトラックの大きさは、あくまで見積もりの一部です。現地を見てもらい、何がいくらなのかを書面で出してもらう方が、結果的に納得のいく金額になりやすいです。
空き家にしておく間のお金も見ておく
片付けや解体だけでなく、空き家として置いておく間にもお金はかかります。代表的なのが固定資産税で、毎年1月1日時点の所有者に1年分がかかります。
ほかにも、電気や水道を止めずにおけば基本料金がかかりますし、傷んだ所の修繕費が出ることもあります。「売るまでの間にいくら出ていくか」も、家族で話し合う時の材料にしてみてください。
費用は誰が払う?兄弟での分け方
もうひとつ悩ましいのが、費用を誰が負担するかです。『長男だから全部出すべき?』と一人で抱え込んでしまう方もいますが、決まったルールがあるわけではありません。
よくあるのは、親の預貯金から出す、相続人で分ける、家の売却代金から精算する、といった方法です。どれにするにしても、立て替えた分の領収書は全部取っておきましょう。
ちなみに、法律で決まっている相続分(法定相続分)は、配偶者と子が相続する場合は配偶者が2分の1、子が残りの2分の1を均等に分けます。費用の分け方を考える時の目安にする家族もいます。
話し合いがまとまらない時は、家庭裁判所の遺産分割調停を使う方法もあります(収入印紙1,200円分と郵便切手)。分け方の考え方は実家じまいの費用は誰が払うかと兄弟での実家じまいで紹介しています。
よくある相談:何から始めればいい?名義が共有だとどうなる?
ここでは、Yahoo!知恵袋などで実際によく見かける相談を、内容を要約してご紹介します。同じように悩んでいる方は、意外と多いんです。
両親が亡くなって、実家で一人暮らしを始めて1年になります。この家を手放したいけれど、何をどの順番でやればいいのか分かりません。
住みながらの実家じまいは、片付けを焦らなくていいのが利点です。まず相続登記が済んでいるかを確かめて、売るなら不動産会社に査定を頼みながら、少しずつ物を減らしていくのがおすすめです。
一緒に住んでいた方の場合、片付けより先に名義の確認から入るとスムーズです。名義が亡くなった親のままだと、売ることができないからです。
話し合いの場では、たとえばこんなやり取りから始めると、相手も答えやすくなります。
「この家、いずれ売ることも考えてる?」「まだ決めてないけど、住む人はいないよね」
結論を急がず、まず全員の考えを出してもらうことが大事です。
結婚して家を出た後の実家が気になる
結婚して実家を出てから20年ほど経つ40代の方から、「実家のことをどう考えればいいのか」という相談も見かけます。離れて暮らしていると、実家の中の様子も、親の考えも分からなくなりがちですよね。
こういう時は、まず帰省したタイミングで「この家、将来どうしたい?」と親に聞いてみるところからで十分です。答えがすぐに出なくても、話題にしておくだけで後がずっと楽になります。
名義が母と私と妹の共有になっている
実家の名義が母・本人・妹の3人の共有で、母は存命だけれど今は住んでいない。この家を処分したい、という相談もありました。
共有名義の家は、名義に入っている人全員で話し合って進めることになります。売る手続きの進め方は、不動産会社や司法書士に早めに確認しておきましょう。
- 家と土地の名義は誰になっているか(登記事項証明書で確認できる)
- 名義人の中に、判断が難しくなっている人はいないか
- 家を売る・残すについて、名義人それぞれの考え
- 片付けと売却の費用を、ひとまず誰が立て替えるか
よくある相談:仏壇・置いてきた荷物・一人で抱える負担
もう少し、気持ちの面も絡む相談を見てみましょう。
仏壇をどうしたらいいか分からない
両親が亡くなり、近いうちに実家じまいをしたいけれど仏壇の扱いが分からない、という相談はとても多いです。買った時に高かったと聞いていると、なおさら手放しにくいですよね。
仏壇は、自宅に引き取る、小さな仏壇に替える、お寺などに相談して供養してから処分する、といった選び方があります。親族の中に気にする人がいないか、先に聞いておくと揉めにくいです。くわしくは実家じまいで仏壇はどうするかをどうぞ。
実家に残してきた自分の荷物はどうする?
「実家を処分することになったけれど、昔置いてきた自分の物をどうしよう」という相談もあります。学生時代のアルバムや賞状、趣味の道具などは、親の物より判断に迷うものです。
自分の物は、実家じまい全体の作業とは分けて、先に片付けてしまうのがおすすめです。残す物の決め方は実家の自分の部屋の片付けで紹介しています。
一人っ子で、毎日つらい
一人っ子で、家じまいを一人でやらなければならず毎日がつらい、という声もありました。兄弟がいない分、話し合いは楽でも、作業と判断のすべてを一人で背負うことになりがちです。
一人で全部やろうとしなくて大丈夫ですよ。運び出しは業者、売れる物は買取店、家は不動産会社と、頼める所に分けていくと、自分でやることはかなり減らせます。
一人で進めるコツは一人っ子の実家じまい、気持ちがしんどい時は実家の片付けがつらい時の進め方も読んでみてください。
実家の処分ができない時と、後悔しやすい場面
実家じまいを進めようとしても、「実家の処分ができない」という壁にぶつかることがあります。理由が分かれば、打つ手も見えてきます。
| 処分できない理由 | よくある状況 | 次の一手 |
|---|---|---|
| 名義が亡くなった親のまま | 相続登記をしていない | 相続人で話し合い、相続登記を済ませる |
| 親が判断できない | 施設に入っていて、本人の意思を確認しにくい | 家庭裁判所の手続きについて専門家に相談する |
| 家族の意見が合わない | 売りたい人と残したい人がいる | 期限を決めて話し合う、調停も視野に入れる |
| 買い手がつかない | 田舎の家、古い家 | 空き家バンク、解体して土地で売る、国庫帰属制度 |
| 気持ちの整理がつかない | 思い出が多く手をつけられない | 形見を先に選び、写真に残してから進める |
気持ちの整理がつかない時は
実家じまいで一番つらいのは、作業そのものより、思い出の詰まった家を手放す気持ちかもしれません。『親に申し訳ない気がする』と感じるのは、とても自然なことです。
そんな時は、無理に急がなくて大丈夫です。家の外観や部屋の様子を写真や動画に残す、家族で最後に集まる日をつくるなど、区切りになる時間を持ってから進める方もいます。気持ちの整理については実家じまいが寂しい・つらい時でも紹介しています。
名義の話は実家の名義が親のままの場合、売れない時の対策は実家が売れない理由と対策でくわしく見ています。
- 仕分けをせずにまとめて処分し、形見や価値のある物まで出してしまった
- 兄弟に相談せずに進め、後から「聞いていない」と言われた
- 相続放棄を考えていたのに、先に家財を処分してしまった
- 空き家のまま何年も置き、傷みが進んでしまった
ほかの失敗例と防ぎ方は実家じまいの失敗と後悔にまとめています。
困った時の相談先
一人で調べて分からないことは、相談先に聞いてしまうのが早道です。悩みごとに窓口が違うので、ざっくり覚えておきましょう。
- ごみの出し方・許可業者の探し方は、市区町村のごみ担当
- 業者とのトラブル・訪問購入の困りごとは、消費者ホットライン188
- 相続登記・名義のことは、法務局や司法書士
- 相続税・譲渡所得・特例のことは、税務署や税理士
- 相続放棄・遺産分割の話し合いは、家庭裁判所や弁護士
- 空き家の管理や空き家バンクは、市区町村の空き家担当
悩み別の窓口は実家じまいはどこに相談するかで一覧にしています。
よくある質問
実家じまいは何から始めればいいですか?
まずは通帳・印鑑・権利証・保険証券などの大事な物を探し、家族で「家をどうするか」「費用を誰が立て替えるか」を話し合うところからです。片付けはその後で大丈夫です。
実家じまいの費用の相場はいくらですか?
片付けや遺品整理、解体の費用には公的な相場がありません。物の量や間取り、搬出のしやすさで変わるので、複数社の現地見積もりを比べて判断しましょう。売れる物を先に買取に出すと、処分の量と費用を減らせます。
実家じまいにはどのくらいの期間がかかりますか?
家の広さや物の量、通える頻度によって大きく変わります。片付けは自分たちのペースで進めつつ、相続放棄3か月・相続税10か月・相続登記3年などの期限だけは先に確認しておきましょう。
親が生きているうちに実家を処分してもいいですか?
家の名義が親なら、売るかどうかは親本人の判断が前提です。元気なうちに一緒に物を減らしたり、将来どうしたいかを聞いておいたりするのは、むしろ後が楽になるのでおすすめです。
遺品の中から売れる物を見つけるコツはありますか?
鏡台の引き出しや押し入れの箱、桐の箪笥など、しまい込まれやすい場所を先に見てみましょう。金・貴金属や腕時計、着物、切手や古銭などは、古くても値段がつくことがあるので、捨てる前に査定で確かめるのが安心です。
まとめ
- 実家じまいは片付けだけでなく、売れる物の現金化、家の行き先、手続きまでを含む
- 最初の1か月は、大事な物探しと家族の話し合いに使う
- 捨てる前に、金・貴金属や時計、着物などの売れる物を査定で確かめる
- 家は売る・解体する・貸す・残すの4つから、状態と場所に合わせて選ぶ
- 相続放棄3か月・準確定申告4か月・相続税10か月・相続登記3年の期限は先に押さえる
- 費用は相場ではなく、内訳と複数社の見積もりで判断する







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