当サイトの記事は、国税庁・法務省・裁判所・国土交通省・環境省・消費者庁・国民生活センターなど公的機関の情報、各買取店の公式情報、Yahoo!知恵袋などの公開された声をもとに編集部が独自に執筆しています。制度や公式情報は記事執筆時点のもので、変わることがあります。
誰も住まなくなった親の家を前に、『そろそろ手放したほうがいいのかな。でも何から始めれば…』と考え込んでしまう方は多いはずです。実家の売却は、不動産会社に電話する前に確かめておきたいことがいくつかあります。
父が亡くなって母も施設に入り、実家が空き家になりました。売りたいとは思っているのですが、何から手をつければいいのか見当がつきません。
最初にやるのは「家の名義が誰になっているか」の確認です。そこが分かると、売主が誰で、売る前にどんな手続きが要るのかが見えてきますよ。
結論から言うと、実家の売却は「名義の確認、相続登記、家財の片付け、査定、売り方の決定、契約、引き渡し」の順に進めると迷いません。この記事を読むと、親の家を売る手順と、それぞれの段階でつまずきやすい点、かかる費用と税金の考え方が分かります。
実家を売る前に「売主は誰か」を確かめる
家を売れるのは、登記簿の上で持ち主になっている人だけです。親の家を子が売りたくても、名義が親のままなら、まず名義の状態に合わせた準備が必要になります。
名義は、法務局で登記事項証明書を取ると確かめられます。毎年届く固定資産税の納税通知書にも、所有者の名前が書かれていますね。
親の家の状況によって、売主になる人と最初にやることが変わります。
| 実家の状況 | 売主になる人 | 最初にやること |
|---|---|---|
| 親が元気で、名義も親 | 親本人 | 親の意思を確かめ、一緒に査定を受ける |
| 親が施設に入っていて、本人の判断が難しい | 親本人(代わりに手続きする人が要ることも) | 家庭裁判所の手続きを含めて専門家に相談する |
| 親が亡くなり、名義が親のまま | 相続した人 | 相続人で話し合い、相続登記を済ませる |
| 父と母の共有名義になっている | 共有している全員 | 共有者それぞれの状況を確かめる |
親が判断できない状態だと、子が代わりに売ることは簡単にはできません。成年後見などの手続きは、親が自分で判断できない時の実家売却で確かめられます。
親が元気なうちに売るなら、親と一緒に動く
名義が親で、親が自分で判断できるうちは、親本人が売主になります。子が窓口になって不動産会社とやり取りすることはあっても、契約を決めるのは親です。
『親に売る話を切り出すのは気が引ける』という方も多いですよね。まずは「この家をこれからどうしたいか」を聞くところから始めてみてください。売るかどうかを決めるのは、そのあとで十分です。
一人っ子でも、名義の確認からは同じ
一人っ子で、もう一方の親もすでに亡くなっている場合は、相続人が自分だけになることが多く、兄弟との話し合いは要りません。ただ、相続登記を済ませてから売る流れは同じです。
一人っ子で実家を売却する時の進め方は、一人っ子の実家じまいにもまとめています。
名義は亡くなった父のままでした。このまま売りに出せないんですか?
亡くなった方の名義のままでは、売買による名義の書き換えができないんです。先に相続登記をして、相続した人の名義に変えておきましょう。
実家の売却の流れは7つのステップ
親の家を売る手続きは、全体の順番が分かると気持ちがぐっと楽になります。まずは全体を眺めてみてください。
- 登記事項証明書で名義を確かめる
- 名義が亡くなった親なら、相続人で話し合って相続登記をする
- 家財を片付け、残す物・売る物・処分する物を分ける
- 不動産会社に査定を頼み、売り出す価格の目安を知る
- 仲介で買い手を探すか、不動産会社に買い取ってもらうかを決める
- 買主と売買契約を結ぶ
- 代金を受け取り、鍵と家を引き渡す

ステップ2の相続登記は、売却の前提になる
相続登記は、令和6年4月1日から義務になりました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する決まりで、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になることがあります。
法務局には、簡単に義務を果たせる「相続人申告登記」という方法もあります。ただ、これは売却には使えないので、売るなら通常の相続登記が要ります。
登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%です。相続した実家を売る順番は、相続した実家を売却する手順で詳しく紹介しています。
ステップ4の査定は、複数の会社に頼む
査定の金額は、会社によって違いが出ることがあります。2〜3社に頼んで、「なぜこの金額なのか」の理由を聞き比べてみましょう。
『一番高い金額を出した会社に決めればいいのでは?』と思いますよね。ただ、高い査定額がそのまま売れる値段になるとは限りません。根拠の説明に納得できる会社を選ぶほうが、あとで慌てずに済みます。
査定を頼む前に、手元にそろえておきたい書類
査定の時に次の書類があると、話が早く進みます。全部そろっていなくても査定は頼めるので、見つかった物から用意してみてください。
- 登記事項証明書(法務局で取れる)
- 固定資産税の納税通知書
- 家を建てた時や買った時の契約書、図面
- リフォームをした時の領収書や契約書
- 境界や測量に関する書類
家を買った時の契約書やリフォームの記録は、売ったあとの税金の計算でも使います。取得費の証明になるので、見つけたら捨てずに保管しておきましょう。
ステップ6と7の契約と引き渡しで気をつけること
契約書には、引き渡しの日や、家財を残していいかどうかなどの条件が書かれます。分からない言葉は、署名の前に担当者に聞いておきましょう。
固定資産税は、毎年1月1日の時点の持ち主に、その年の分がかかります。年の途中で売る時のお金のやり取りは、契約の時に不動産会社に確かめておくと安心です。
仲介と買取、どちらで売る?
実家の売却方法は、大きく分けて2つあります。不動産会社に買い手を探してもらう「仲介」と、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」です。
| 比べるところ | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 買主 | 一般の個人など | 不動産会社 |
| 売れるまでの時間 | 買い手が見つかるまでかかる | 話がまとまりやすい |
| 価格 | 売り出す価格を自分で決めやすい | 仲介より低めになることが多い |
| 内覧の対応 | 要る | ほとんど要らない |
| 家財や傷み | 片付けてから売るのが基本 | そのままで相談できる場合がある |
どちらが正解ということはありません。急いで手放したいのか、時間をかけても条件よく売りたいのかで選んでいいんです。
| こんな時 | 合いやすい売り方 |
|---|---|
| 時間がかかってもいいので、条件よく売りたい | 仲介 |
| 遠方に住んでいて、内覧の立ち会いが難しい | 買取も含めて相談 |
| 古い実家で、傷みが目立つ | 買取、または解体して土地で売る |
| 引き渡しの時期を決めておきたい | 買取 |
遠方に住んでいて、何度も通えない時は
遠方の実家を売る時は、帰省の回数をどう減らすかが悩みどころですよね。査定や打ち合わせの日程をまとめて組み、鍵の預け方や内覧の立ち会いを誰がするのかを、最初に不動産会社と決めておくと進めやすくなります。
買取の仕組みと向いている家は、空き家の買取とは?で比べられます。古い実家なら、建物を残したまま売るか、更地にするかで迷うこともありますよね。その違いは実家の土地を売るにまとめています。
仲介と買取、どっちにするか決めないと査定は頼めませんか?
決めていなくても大丈夫ですよ。査定の時に「仲介と買取の両方の金額を教えてください」と伝えると、比べながら考えられます。
実家の売却にかかる費用と、税金の考え方
『実家を売ったら、いくら手元に残るんだろう』。気になるのはそこですよね。売れた金額がそのまま残るわけではなく、費用と税金を差し引いて考えます。
実家の売却費用は、家の状態や売り方で変わります。主な内訳を見ておきましょう。
| 費用・税金 | どんな時にかかる | 金額の決まり方 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 仲介で売った時 | 売買価格と会社との契約で決まる。媒介契約の前に確認 |
| 相続登記の登録免許税 | 名義が亡くなった親のままの時 | 固定資産税評価額の0.4% |
| 司法書士への報酬 | 登記を専門家に頼む時 | 依頼先ごとに見積もりで確認 |
| 家財の片付け・処分 | 家財が残っている時 | 物の量、間取り、搬出経路などで変わる |
| 解体費 | 建物を壊して土地で売る時 | 建物の構造や広さ、アスベストの有無などで変わる |
| 譲渡所得の税金 | 売って利益が出た時 | 売った金額から取得費と譲渡費用を引いて計算 |
片付けや解体の費用には、決まった相場はありません。複数社の見積もりで比べて、追加料金の条件を書面でもらっておくと安心です。

実家の売却で利益が出たら、確定申告をする
実家を売った利益は「譲渡所得」として、ほかの所得とは分けて税金を計算します。計算のもとになるのは、次の式です。
譲渡所得は、売った金額から「取得費」と「譲渡費用」を引いた額です。
取得費が分からない時は、売った金額の5%を取得費にできます。仲介手数料や、売るために建物を取り壊した費用は譲渡費用に入ります。
税率は、売った年の1月1日に所有期間が5年を超えていれば長期の扱いです。相続した家は、親が取得した日から所有期間を数えます。
使えるかもしれない3,000万円の特例
亡くなった親が一人で住んでいた家を相続して売る時は、空き家の3,000万円特別控除が使えることがあります。昭和56年5月31日以前に建てられた家であること、マンションではないこと、売却代金が1億円以下であることなどが条件です。
古い実家ほど、この特例の「昭和56年5月31日以前の建築」という条件に当てはまりやすくなります。一方で、建物を残して売るなら耐震基準を満たすこと、壊すなら取り壊してから土地を売ることなど、売り方の条件もあります。
親が施設に入り、親本人が売主になる場合は、別の特例(マイホームを売った時の3,000万円控除)で考えます。特例の細かい条件は空き家の3,000万円特別控除とは、計算の仕方は実家を売った時の税金で確かめてみてください。個別の判断は、税務署や税理士に相談しましょう。
家財の片付けは、売り出す前に済ませておく
家財は、査定や内覧の前に片付けておくのが基本です。物が少ないほうが部屋の広さや傷み具合が伝わりやすく、引き渡しの段取りも立てやすくなります。
実家を売る時の片付けは、「全部捨てる」作業ではありません。残す物、兄弟で分ける物、売る物、処分する物に分けていきます。
例えば、3LDKの実家に親の物がそのまま残っている場合。最初の帰省は、通帳や権利証などの大事な書類を探すことに使い、次の帰省から部屋ごとに仕分けを始めると進めやすくなります。
『家具も食器も古いし、全部まとめて業者に頼めばいいか』と思った方もいるかもしれません。ただ、親の家には、金の指輪や腕時計、着物、古い切手など、値段がつく物が眠っていることがあります。
処分を頼む前に、そうした品物は買取店で値打ちを確かめておきましょう。売れたお金は、片付けや売却の費用にあてることもできます。
PR|遺品・実家の品の買取
捨てる前に、実家の品の査定額を確かめる
金・貴金属やアクセサリー、ブランド品、時計、骨董品、古いお金なども、まとめて査定してもらえます。運び出しが大変な時は出張査定、まずは写真で聞きたい時はLINE査定も選べます。金額を聞いてから売るかどうか決めましょう。
査定料無料公式サイトで査定方法を確認する買取の対象や条件は品物によって変わります。最新の条件は公式サイトで確認してください。
家にある物のうち、どれに値段がつきやすいかは実家の片付けで売れるもの一覧で見分け方を紹介しています。買取店・リサイクルショップ・フリマのどこで売るかは、実家の品はどこで売る?で比べられます。
引き渡しの日までに、家を空にする段取り
契約で「家財を残さない」と決めたなら、引き渡しの日までに家の中を空にしておく必要があります。売れてから慌てないよう、大きな家具や家電の処分は早めに予約しておきましょう。
親が住んでいた家なら、郵便の転送も忘れずに出しておきたいところです。日本郵便に転居届を出すと、届け出の日から1年間、旧住所あての郵便物を新しい住所へ無料で転送してもらえます。
相続放棄を考えている人が家財を売ったり捨てたりすると、相続を認めたとみなされるおそれがあります。片付けや売却の前に、家庭裁判所や弁護士に相談してください。
実家の売却について、よく届く相談
ネットの相談サイトには、親の家を売る時の悩みがたくさん寄せられています。よくあるものをいくつか要約して答えますね。
両親が施設に入って家を売ることに。タンスや食器はどうする?
家の売却が決まり、大きな家財をどう処分するかという相談です。まずは親が施設で使う物と、家族が引き取る物を先に選びましょう。
残りは、売れる物を買取に出し、自治体の粗大ごみや、市区町村の許可を受けた業者への依頼で処分します。不動産会社によっては、家財が残ったまま買い取る相談に乗ってくれることもあります。
実家を売って出ていく時、近所への挨拶はどこまで?
決まった範囲はありませんが、両隣とお向かい、親が親しくしていた家に声をかける方が多いようです。長く空き家で迷惑をかけたと感じるなら、その気持ちを一言添えるといいですね。
親が地域でお世話になった方には、「長い間ありがとうございました」と伝えるだけでも、気持ちの区切りになります。
父と母の共有名義の家を売る時、税金はどうなる?
名義を父と母で持っていた家では、亡くなった父の持ち分を相続し、母の持ち分は母のまま、ということがあります。この場合、売る時は持ち分ごとに売主になる人が変わり、税金もそれぞれの持ち分で考えます。
共有の割合は登記事項証明書で確かめられます。特例が使えるかどうかも持ち主ごとに変わるので、売る前に税務署か税理士に相談しておきましょう。
実家の売却は、結局どこに相談すればいいんでしょう?
相談先は内容ごとに分かれるんです。家の値段は不動産会社、名義のことは法務局や司法書士、税金は税務署や税理士、と覚えておくと迷いませんよ。
建てた時の費用が分からない。リフォームの記録はある
空き家を売って確定申告をする時、建築費は分からないけれど、設備のリフォーム費用の記録は残っている、という相談もあります。国税庁の案内では、取得費には購入代金のほか、改良費や設備費も含めます。
建物は所有期間中の減価償却費に当たる額を差し引くなど、計算には決まりがあります。記録をまとめて、税務署か税理士に相談してみてください。実際の取得費が分からない時は、売った金額の5%を取得費にする方法もあります。
実家が売れない時に考えたいこと
古い実家や田舎の家は、売りに出してもなかなか買い手がつかないことがあります。そんな時も、選べる道はいくつかあるんです。
| 売れない理由の例 | 考えられる次の一手 |
|---|---|
| 建物が古く、住むには直しが要る | 解体して土地で売る、買取を相談する |
| 地域に買い手が少ない | 自治体の空き家バンクに登録する |
| 価格が周りと比べて高い | 査定の根拠を聞き直し、価格を見直す |
| 家を壊したあとの土地も手放したい | 相続土地国庫帰属制度を調べる |
空き家バンクは、自治体が空き家の情報を集めて紹介する仕組みです。国土交通省は、自治体を横断して探せる全国版の空き家・空き地バンクを案内しています。
相続土地国庫帰属制度は、建物がある土地では申請できません。使うなら解体が前提になる点に気をつけてください。
空き家のまま置いておく期間が長くなるなら、管理も欠かせません。空き家の管理が行き届かず、市区町村から勧告を受けると、土地の固定資産税の軽減(住宅用地の特例)が外れることがあります。
売れない理由ごとの対策は実家が売れない理由と対策、実家じまい全体のどこに売却が入るかは実家じまいとは?やることの順番で確かめられます。
よくある質問
実家の売却には、どれくらいの期間がかかりますか?
名義の状態や売り方によって大きく変わります。相続登記が済んでいない場合はその手続きの時間も見込み、仲介なら買い手が見つかるまでの期間も考えておきましょう。
実家はいくらで売れますか?
立地や建物の状態で変わるので、不動産会社の査定で確かめるのが確実です。複数の会社に頼み、金額の根拠を聞き比べてみてください。
家財が残ったままでも売れますか?
買取なら相談に乗ってもらえる場合があります。仲介で売る時は、査定や内覧の前に片付けておくほうが話が進みやすくなります。
親が元気なうちに実家を売ることはできますか?
できます。名義が親なら、売主は親本人です。親の意思を大切にしながら、一緒に査定を受けるところから始めましょう。
実家を売ったら、どんな場合でも税金がかかりますか?
利益が出なければ、譲渡所得の税金はかかりません。利益が出ても特例で税金がかからないことがあり、その場合も確定申告が要ります。
まとめ
- 実家を売れるのは登記簿上の持ち主だけ。まず名義を確かめる
- 名義が亡くなった親なら、相続登記を済ませてから売る
- 査定は複数の会社に頼み、金額の根拠を聞き比べる
- 仲介か買取かは、急ぐかどうかと家の状態で選ぶ
- 家財は売り出す前に片付け、値段がつく物は処分の前に買取で確かめる
実家の売却は、手続きだけでなく気持ちの整理も伴う作業です。一つずつ順番に進めていけば大丈夫ですよ。







コメント