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誰も住まなくなった実家が、年々傷んでいく。壊したほうがいいのか、でも何から手をつければいいのか分からない。実家の解体を考え始めた方は、そんな迷いの中にいるのではないでしょうか。
親が亡くなって、実家は古くてもう住めそうにありません。解体を考えているんですが、業者さんに電話するところから始めればいいんでしょうか。
電話の前に、家の名義と家の中の物を確かめるところから始めましょう。解体は、壊すこと自体より、その前後の段取りのほうが多いんです。
結論から言うと、実家の解体は「壊すか決める、名義を確かめる、家の中を片付ける、見積もりを取る、届出と調査、工事、滅失登記」の順で進みます。この記事を読めば、自分がいまどの段階にいて、次に何をすればいいかが分かります。
実家を解体するか迷った時に、最初に考えたいこと
解体は、決めたら取り消せない選択です。売る予定、税金、管理の手間をひと通り比べてから決めても遅くありません。
『古いし危ないから、早く壊したほうがいいのでは』と思いますよね。たしかに傷んだまま放置するのは心配です。ただ、壊したほうが得かどうかは、その後どうするかで変わります。
| 比べること | 解体して更地にした場合 | 建物を残した場合 |
|---|---|---|
| 固定資産税 | 住宅用地の特例が使えなくなる | 住宅が建っていれば特例の対象になる |
| 管理の手間 | 草刈りなど土地の管理が中心になる | 換気や通水、雨漏りの点検などが続く |
| 売る時 | 土地として売り出せる | 古家付きの土地、または家として売る |
| 空き家の3,000万円控除 | 全部壊した後に敷地を売る方法がある | 売る時点で耐震基準を満たす必要がある |
| 相続土地国庫帰属制度 | 建物がないので申請を考えられる | 建物がある土地は申請できない |
表のとおり、壊すことで楽になる面と、負担が増える面があります。売る予定がはっきりしているなら、不動産会社に「壊してから売るのと、そのまま売るのと、どちらが合いそうか」を聞いてから決めるのがおすすめです。
兄は「すぐ壊そう」、私は「もう少し残したい」で意見が分かれていて。
意見が割れるのは自然なことです。壊す時期は先に延ばせても、相続登記などの期限は待ってくれません。期限のあることから一緒に片付けていくと、話し合いも進めやすくなりますよ。
売るか残すかで迷っている段階なら、実家を売るか住むか貸すかの比較も参考になります。
土地を国に引き取ってもらう制度を考えている時
田舎の実家で、売るのも難しそうな時に名前が挙がるのが相続土地国庫帰属制度です。相続した土地を、一定の条件のもとで国に引き取ってもらえる制度です。
ただし、建物がある土地は申請できません。この制度を使うなら解体が前提になり、審査手数料(土地一筆当たり14,000円)や、承認後の負担金もかかります。
解体費用と合わせて考えたいので、先に法務局に相談してみてください。くわしくは相続土地国庫帰属制度とはで紹介しています。
実家の解体は、片付けから滅失登記までの7つの段取り
実家の解体は、工事の日だけを見ていると準備が足りなくなりがちです。全体を先に見ておきましょう。
- 解体するかどうか、家族で決める
- 登記で名義を確かめ、親の名義なら相続の手続きを進める
- 家の中を片付ける(残す物・売る物・処分する物に分ける)
- 解体業者に現地を見てもらい、複数社から見積もりを取る
- 床面積80㎡以上なら、工事に着手する7日前までに届出をする
- アスベストの事前調査を受け、結果の説明を聞いてから工事に入る
- 工事が終わったら、1か月以内に建物滅失登記を申請する

この中で時間がかかりやすいのは、2の名義と3の片付けです。工事そのものより、ここに何か月もかかることも珍しくありません。
逆に言えば、名義と片付けを先に終わらせておくと、解体業者とのやりとりはぐっと楽になります。
相続した実家を解体するなら、名義の確認から
名義って、親のままだと解体できないんですか?
解体工事の契約や届出は、発注する人が行います。親が亡くなっていれば、家は相続人みんなの共有になっているので、誰が発注するのかを相続人で決めておく必要があるんです。
実家の解体と相続は切り離せません。親が亡くなった時点で、家は相続人全員の共有になります。兄弟の一人が勝手に壊すと、後で「聞いていない」と揉める原因になります。
- 登記事項証明書で、家と土地の名義を確かめる
- 相続人が誰かを戸籍で確かめる
- 解体することに、相続人全員が同意しているか
- 解体の費用を誰がどう負担するか
- 相続放棄を考えている人がいないか
最後の項目は大事なところです。相続放棄を考えている人が家財を処分したり、解体を進めたりすると、相続を認めたとみなされるおそれがあります。放棄を考えているなら、片付けや解体の前に家庭裁判所や弁護士に相談してみてください。
相続登記の期限も、解体と一緒に考える
相続登記は、相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に申請する決まりです。2024年4月1日より前の相続も対象で、その場合は2027年3月31日までが期限になります。
建物を壊しても、土地の相続登記は残ります。解体の準備と同じ時期に、法務局や司法書士に相談しておくと二度手間になりません。くわしくは実家の相続登記の義務化で紹介しています。
解体前の実家の片付けで、売れる物を取りこぼさない
家財が残ったままだと、解体の見積もりにその処分分が含まれ、比べにくくなります。工事の前に家の中を空にしておくのが基本です。
家財は家庭から出る廃棄物なので、市区町村の収集か、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者に頼むのが原則です。建物を壊した時に出る廃材とは、扱いが違うんです。
家財と解体の関係は家を解体する時の家財道具でくわしく紹介しています。ここでは、実家の解体前の片付けで気をつけたいことに絞ります。
どうせ全部壊すんだから、中の物もまとめて業者に任せたいです。
気持ちは分かります。ただ、壊してしまうと二度と取り出せません。任せる前に一度だけ、引き出しや押し入れの奥を見てみてください。
実家の片付けでよく見つかるのが、次のような品物です。
- 鏡台の引き出しに入った指輪やネックレス
- 箱にしまわれたままの腕時計や記念のメダル
- 桐のたんすの着物や帯
- 茶だんすの奥の器、掛け軸
- 缶に入った古いお金や切手
切れたネックレスや片方だけのイヤリングでも、金やプラチナなら値段がつくことがあります。権利証や通帳、写真といった大事な物と一緒に、売れそうな物も先に分けておきましょう。

何が売れるかは実家の片付けで売れるもの一覧で、売り先の違いは実家の品はどこで売る?で紹介しています。
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捨てる前に、実家の品の査定額を確かめる
金・貴金属やアクセサリー、ブランド品、時計、骨董品、古いお金なども、まとめて査定してもらえます。運び出しが大変な時は出張査定、まずは写真で聞きたい時はLINE査定も選べます。金額を聞いてから売るかどうか決めましょう。
査定料無料公式サイトで査定方法を確認する買取の対象や条件は品物によって変わります。最新の条件は公式サイトで確認してください。
解体の準備で忙しい時期は、出張の査定をまとめて頼みたくなりますよね。家での買取には、書面を受け取ってから8日以内のクーリング・オフがあるので、急いで決めなくても大丈夫です。
遠方で、片付けに何度も通えない時
実家が遠いと、片付けのための帰省だけで疲れてしまいますよね。そんな時は、帰省1回ごとに目的を決めると進めやすくなります。
例えば1回目は大事な物と売れる物を探す日、2回目は業者の見積もりと出張査定に立ち会う日、と分けるやり方です。家の中の写真を撮っておくと、離れていても兄弟と相談しやすくなります。
解体費用の見積もりは、金額より内訳で比べる
解体費用は、家の大きさや構造、道路の広さ、残っている物の量などで変わります。決まった相場があるわけではないので、現地を見てもらったうえで複数社の見積もりを比べるのが基本です。
『安いところにすぐ決めたい』と思うかもしれません。ただ、合計の金額だけで比べると、含まれている作業が会社ごとに違うことがあるんです。
| 見積書で見る項目 | 確かめたいこと |
|---|---|
| 建物の解体 | 木造・鉄骨などの構造と、床面積が合っているか |
| 廃材の処分 | 分別解体と、廃材の運搬・処分が含まれているか |
| 家財の処分 | 含まれているか、含まれていないか |
| 庭木・ブロック塀・物置 | 建物以外に壊す物が入っているか |
| アスベストの事前調査 | 調査の費用と、見つかった場合の扱い |
| 届出などの手続き | 届出の書類づくりを手伝ってもらえるか |
| 追加料金 | 地中から物が出た時など、追加になる条件 |
建設リサイクル法では、解体工事の請負契約に、解体工事の費用や再資源化などの費用を書くことが決められています。内訳がはっきりしない見積もりは、その場で質問してみてください。
- 家財を片付け、家の中をできるだけ空にする
- 庭木や物置、塀など、壊してほしい物を決めておく
- 隣の家との境界や、工事車両が入れる道かを確かめる
- 2〜3社に現地を見てもらい、同じ条件で見積もりを頼む
工事の前に、近所への挨拶も段取りに入れる
解体工事では、音やほこり、工事車両の出入りで近所に負担をかけることがあります。業者が挨拶回りをしてくれる場合もありますが、親が長くお世話になった家なら、家族からも一言伝えておくと気持ちよく進められます。
「長い間お世話になりました。来月から解体工事が始まります」。そんな一言で十分です。
郵便物の転送や、ポストの片付けもこのタイミングで済ませておきましょう。
空き家の売却に向けた解体費用の考え方
空き家を売るために解体する時は、解体費用の扱いも気になりますよね。土地を売るために建物を取り壊した時の取壊し費用は、譲渡所得を計算する時の譲渡費用になります。
つまり、売った金額から差し引ける費用です。ただし、修繕費や固定資産税など、維持・管理のための費用は譲渡費用になりません。解体の請求書や領収書は、売却が終わるまで保管しておきましょう。
亡くなった親が一人で住んでいた家なら、空き家の3,000万円特別控除も関係します。昭和56年5月31日以前に建てられた家で、全部壊した後に敷地を売る方法でも使えることがあります。条件は空き家の3,000万円特別控除とはで確かめてみてください。
解体で決まっている届出・調査・登記と、固定資産税
建設リサイクル法の届出、アスベストの事前調査、建物滅失登記です。業者に任せる部分と、自分がする部分を分けて考えると分かりやすくなります。
建設リサイクル法の届出(床面積80㎡以上)
床面積の合計が80㎡以上の建物を解体する時は、工事に着手する日の7日前までに、都道府県知事に届け出ることが決められています。届け出るのは、工事を発注する人です。
届出には分別解体の計画などを書きます。書類づくりは解体業者が手伝ってくれることが多いので、見積もりの段階で「届出はどうしますか」と聞いておくと安心です。
アスベストの事前調査
解体工事の元請業者は、工事の前に石綿(アスベスト)が使われていないかを調べ、結果を発注者に書面で説明します。発注者は、調査の費用を適正に負担するなどして協力することになっています。
床面積の合計が80㎡以上の解体では、調査の結果を都道府県知事に報告する決まりもあります。建築物の解体では、有資格者による事前調査が義務付けられています。説明を受けたら、書面は手元に残しておきましょう。
建物滅失登記(解体から1か月以内)
建物がなくなったら、登記の名義人は、滅失の日から1か月以内に建物の滅失登記を申請することになっています。忘れやすいのですが、登記簿に建物が残ったままだと、土地を売る時に支障が出ることがあります。
申請の方法や必要な書類は、土地のある地域の法務局か、土地家屋調査士に確かめてみてください。
『工事と一緒に、業者さんが済ませてくれるのでは』と思いがちな手続きです。でも、申請することになっているのは建物の登記の名義人なんです。
工事の見積もりの段階で「滅失登記に使う書類は出してもらえますか」と聞いておき、工事が終わったらすぐ法務局に問い合わせる段取りにしておくと忘れません。
解体した後の固定資産税はどう変わる?
固定資産税は、毎年1月1日時点の土地や家屋の状態をもとに課税されます。住宅が建っている土地には住宅用地の特例があり、200㎡以下の部分は6分の1、200㎡を超える部分は3分の1にして計算されています。
家を壊して更地にすると、この特例の対象から外れます。家屋の分の税金はなくなりますが、土地の税金が上がることがあるんです。具体的な金額は、実家のある市区町村の資産税の担当に問い合わせると確かめられます。
| 手続き・税 | 誰がするか | いつまで・いつ |
|---|---|---|
| 解体の届出 | 工事を発注する人 | 着手する日の7日前まで |
| アスベストの事前調査 | 元請業者(結果を発注者に説明) | 工事の前 |
| 建物滅失登記 | 建物の登記の名義人 | 滅失の日から1か月以内 |
| 固定資産税の変化 | 市区町村が課税 | 毎年1月1日の状態で決まる |
実家の解体でよくある相談
解体については、お金と税金、それに相続放棄にからむ質問が目立ちます。3つの声に答えていきます。
古い家を壊して建て替えたい。家財の処分費用がどれくらいになるか不安
家財の処分費用は、量や品目、運び出しやすさで変わるので、決まった額は言えません。現地を見てもらって、複数社の見積もりを比べるのが確実です。
費用を抑えたいなら、自分で仕分けて市区町村の粗大ごみに出せる物は出す、売れる物は買取に回す、の2つが効きます。家財が減るほど、解体の見積もりも比べやすくなります。
更地にすると、固定資産税がどれくらい上がるのか知りたい
住宅が建っている土地は、住宅用地の特例で税金が軽くなっています。更地にするとその特例がなくなるので、土地の分の税金は上がる方向になります。
上がり幅は、土地の評価額や面積で違います。実家のある市区町村の資産税の担当に、今の課税明細を手元に置いて聞いてみるのが早いです。
税金が上がるからと、傷んだ家を放っておくのはおすすめできません。管理が行き届かず市区町村から勧告を受けると、建物が残っていても住宅用地の特例は外れてしまいます。放置した時のことは空き家の実家を放置するとどうなる?で紹介しています。
相続放棄した実家の解体費用は、払わないといけない?
相続放棄をすると、初めから相続人ではなかったものとみなされます。一方で、放棄した時にその家を実際に管理していた人には、次の人に引き渡すまで保存する義務が残ることがあります。
自分の場合に何が求められるかは、事情によって変わります。親を助けたい気持ちがあっても、片付けや解体に手を出す前に、家庭裁判所や弁護士に相談してみてください。
よくある質問
実家の解体の前に、片付けはどこまでやればいいですか?
家の中をできるだけ空にしておくのが基本です。大事な書類や形見、売れる物を先に取り出し、残りは市区町村の収集や許可のある業者で処分します。業者に家財の処分も頼む時は、見積もりに含まれているかを確かめましょう。
解体の届出は自分でしないといけませんか?
建設リサイクル法の届出は、工事を発注する人がすることになっています。書類づくりは解体業者が手伝ってくれることが多いので、見積もりの時に確認してみてください。
建物滅失登記を忘れるとどうなりますか?
建物がなくなった日から1か月以内に申請することが決められています。登記簿に建物が残ったままだと、土地を売る時などに支障が出ることがあるので、工事が終わったら早めに法務局に相談しましょう。
実家の解体費用は、相続人の誰が払うものですか?
決まったルールがあるわけではなく、相続人で話し合って決めるのが一般的です。売った代金から精算するなど、分け方は解体の前に決めておくと揉めにくくなります。
解体した後の土地は、どうすればいいですか?
売る、持ち続けて管理する、条件が合えば相続土地国庫帰属制度を使う、といった選択肢があります。持ち続ける場合も、草刈りなどの管理は続くので、解体の前に土地の行き先まで家族で話しておくと安心です。
まとめ
- 実家の解体は、壊すか決める、名義、片付け、見積もり、届出と調査、工事、滅失登記の順
- 相続した実家は相続人全員の共有なので、解体の前に全員の同意と費用の分担を決める
- 家財は工事の前に片付け、売れる物は壊す前に分けて査定に出す
- 床面積80㎡以上は着手7日前までに届出、アスベストの事前調査、1か月以内に滅失登記
- 更地にすると住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税は上がる方向になる
解体の前後も含めた実家じまい全体の順番は、実家じまいの費用・期間・やることにまとめています。壊す前にできることを一つずつ片付けて、家族が納得できる形で区切りをつけてみてください。







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