施設に入った親の家の売却|片付け・管理・売る時の名義と手続き

施設に入った親の家の売却と片付けを表すイラスト

当サイトの記事は、国税庁・法務省・裁判所・国土交通省・環境省・消費者庁・国民生活センターなど公的機関の情報、各買取店の公式情報、Yahoo!知恵袋などの公開された声をもとに編集部が独自に執筆しています。制度や公式情報は記事執筆時点のもので、変わることがあります。

親が施設に入ると、誰も住まなくなった実家をどうするか考えなければなりませんよね。「売ったほうがいいのか」「片付けはいつやるのか」と、急に決めることが増えて戸惑っている方も多いはずです。

実家を片付ける人

母が施設に入ることになりました。実家は空き家になります。施設に入った親の家って、子どもの判断で売ってもいいんでしょうか。

案内役

家が親名義なら、売るのは親本人なんです。子が代わりに決めて売ることはできないので、まずは親の気持ちを聞くところから始めましょう。

結論から言うと、施設に入った親の家の売却は「名義の確認」と「親の意思」が出発点です。この記事では、家をどうするかの選び方と、片付け・管理・売却を進める順番が分かります。

目次

親が施設に入った後の家、選べる道は4つ

先に結論

親が施設に入った後の実家は、大きく「そのまま残す」「片付けて空き家として管理する」「売却する」「貸す」の4つから選びます。どれが正解ということはなく、親の希望と家族の事情で決めていいんです。

『もう戻ってこないなら、早く売ったほうがいいのでは』と考える方もいますよね。ただ、親によっては「いつか家に帰りたい」という気持ちを支えにしていることもあります。

まずは4つの道を並べて、家族で話す材料にしてみてください。

選び方向いているケース気をつけたいこと
そのまま残す親が自宅に戻る可能性がある、気持ちの整理に時間がほしい誰も住まない家は傷みが早い、定期的な換気や点検が要る
片付けて空き家として管理する売るか決めかねている、家族の誰かが将来使うかもしれない管理の手間と固定資産税がかかり続ける
売却する戻る予定がない、施設の費用に充てたい、管理が難しい親名義なら親本人が売主になる
貸す立地が良く借り手が見込める、家を手放したくない貸す前の修繕や片付け、管理の手間

どの道を選ぶにしても、親が施設に入る時の実家の片付けは避けて通れません。売らずに残す場合でも、貴重品や書類は早めに整理しておきたいところです。

売るか住むか貸すかの比べ方は、実家を売るか住むか貸すかでも詳しく紹介しています。

家族で話す時に決めておきたいこと

4つのどれを選ぶにしても、家族の誰が何を担当するかを決めておかないと、話が前に進みません。少なくとも次の点は、早めに話しておきましょう。

  • 親の希望を、誰がどのタイミングで聞くか
  • 空き家の見回りや郵便の確認を、誰がどのくらいの頻度でするか
  • 固定資産税や管理にかかるお金を、どこから出すか
  • 不動産会社や買取店とのやり取りを、誰が窓口になって進めるか

兄弟の間で負担が偏ると、後々のもめごとの種になりがちです。役割と費用の分け方は、兄弟での実家じまいも参考にしてみてください。

貸す場合に考えておくこと

立地によっては、売らずに貸すという道もあります。家を手放さずに済むので、親の気持ちに沿いやすい選び方です。

ただ、人に貸すには、傷んだところの修繕や家財の片付けが前もって必要になります。貸している間も、建物の持ち主として管理の責任は続きます。

親が施設に入った後の実家の4つの選び方を示した図解

施設に入った親の家を売却できるのは誰?名義と同意

ここが大事なところです。家を売れるのは、その家の名義人(所有者)だけです。

実家を片付ける人

施設の費用に充てたいので、私が手続きをして実家を売りたいんですが……。

案内役

気持ちはよく分かります。ただ、親名義の家は、親が売主として契約するのが原則です。親が自分で判断できる状態なら、親の同意を得て一緒に進めていきましょう。

まずは登記で名義を確かめる

「父の家だと思っていたら、亡くなった祖父の名義のままだった」ということもあります。売却の話を始める前に、法務局で登記事項証明書を取って名義を確かめておくと安心です。

両親の共有名義になっている場合もあります。その場合は、名義人それぞれの意思が必要になります。

親が自分で判断できる場合の進め方

親が施設にいても、自分で判断できる状態なら、親が売主として売却を進められます。子は、不動産会社とのやり取りや片付けを手伝う役になります。

親が売主になって売却する流れ
  1. 登記で家の名義を確かめる
  2. 親に、売るかどうかと、売ったお金をどう使いたいかを聞く
  3. 不動産会社に査定を頼み、売り出す価格の考え方を聞く
  4. 親が売主として売買契約を結ぶ(施設から出かけにくい時の進め方は、不動産会社や司法書士に相談)
  5. 引き渡しの日までに、家の中の片付けを終わらせる

査定の受け方は実家・空き家の査定の受け方、売却全体の流れは実家を売却する流れで紹介しています。

施設にいる親と話す時のコツ

施設にいる親に家の話をする時は、面会の短い時間で結論を出そうとしないことが大切です。例えば、こんな聞き方から始めてみてください。

「お母さん、家の庭の柿の木、今年もたくさん実がなってたよ。家のこと、この先どうしたいか考えてる?」

「そうねえ、もう戻れないかもしれないし……あなたたちに任せるわ」

「任せる」と言われても、それで決めてしまわずに「売ったお金は施設の費用に使ってもいい?」など、具体的なことを一つずつ確かめていくと、親の本当の気持ちが見えてきます。

親が自分で判断することが難しい場合

親の判断能力が低下していて、売ることの意味が理解できない状態だと、親が契約を結ぶことは難しくなります。子が親に代わって勝手に売ることもできません。

この場合は、家庭裁判所の成年後見の手続きを使う話になります。流れや注意点は親が自分で判断できない時の実家売却で紹介しています。手続きの細かい点は、家庭裁判所や弁護士・司法書士に確認してください。

よくある失敗

親の通帳や権利証を預かっているからといって、子が自分の判断で売却の話を進めてしまうケースです。名義人の意思がないまま進めると、契約そのものが成り立たず、家族の間でもめる原因になります。

親が施設に入る時の実家の片付け、どこから始める?

『施設に入る準備と片付けが同時に来て、何から手をつけていいか分からない』という声はとても多いです。順番を決めておくと、気持ちも少し楽になります。

施設入居に合わせた片付けの順番
  1. 施設に持って行く物を、親と一緒に選ぶ
  2. 通帳・印鑑・保険証券・権利証・年金の書類など、大事な物をまとめて保管する
  3. 親が残したい物、形見にしたい物を聞いて分けておく
  4. 売れそうな物は、親の了解を得て査定に出す
  5. 残った家財を、自治体の収集や許可のある業者で処分する

最初に「施設に持って行く物」を決めるのがポイントです。施設は部屋の広さや持ち込める物が決まっていることが多いので、施設の案内を見ながら親と選びましょう。

家の中の物を4つに分ける

家財は、次の4つに分けると判断しやすくなります。

分け方例行き先
施設に持って行く普段着、使い慣れた小物、写真を数枚施設の部屋
家族が引き取る形見にしたい物、思い出の品子や兄弟の家
売る金・貴金属、腕時計、ブランド品、着物、骨董品買取店の査定
処分する使わない日用品、古い家具や家電自治体の収集、許可のある業者

処分する物のうち、エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機の4つは粗大ごみでは出せず、販売店などに引き取ってもらいます。回収を業者に頼む時は、その業者が市区町村から一般廃棄物の収集運搬の許可や委託を受けているかを見ておきましょう。

写真や思い出の品は、親と一緒に選ぶ

アルバムや手紙、趣味の道具などは、施設に全部持って行くのは難しいですよね。親と一緒に、手元に置きたい物を少しだけ選んでもらいましょう。

実家を片付ける人

アルバムが何十冊もあります。施設には持って行けないし、勝手に捨てるのも気が引けて。

案内役

親に好きな写真を何枚か選んでもらい、施設の部屋に飾れる分だけ持って行くのがおすすめです。残りのアルバムは、家をどうするか決まるまで子の家で預かっておけば、急いで手放さなくて済みますよ。

施設に入った後も「残す」なら片付けは最小限に

親が自宅に戻る可能性がある時や、まだ売ると決めていない時は、片付けは最小限でかまいません。貴重品と大事な書類をまとめ、冷蔵庫の中身や生ごみを片付けておけば十分です。

空き家にする時に気になる電気・水道・郵便の手続きは、実家じまいの解約・手続き一覧でまとめています。

売れる物は、親の了解を得て査定に出す

施設に入った親の家の片付けでは、家中の物が一度に不要になることがあります。その中には、お金に換えられる物もあるかもしれません。

ここが大事なところです

親の持ち物は、売る前に親に一言聞いておきましょう。「売っていい?」と聞くだけで、後で「大事にしていた物が無くなった」というすれ違いを防げます。

家中の物をまとめて一括で見てもらう方法もあります。ただ、金・貴金属や腕時計、ブランド品、着物のような物は、それぞれを扱い慣れた買取店に見てもらうと説明も丁寧に受けられます。

例えばおたからやは、金・貴金属、時計、バッグ、切手、古銭、骨董品などを扱っていて、出張査定・店頭査定・LINE査定を選べます。出張査定は「ご実家の整理などは出張査定がおすすめ」と案内していて、出張料・査定料・買取手数料はかかりません。

家で品物を見てもらう時は、契約の内容が書かれた書面を受け取っておきましょう。特定商取引法で、受け取った日から数えて8日以内なら契約をやめられると決まっていて、迷った時の相談先は消費者ホットライン188です。

まとめて査定を頼む前に分けておきたい物

家中の物を一度に見てもらう時は、査定の前に「売らない物」をはっきり分けておきましょう。形見にしたい物や、親が施設に持って行きたい物が、まとめて持っていかれないようにするためです。

『どれが価値のある物か分からない』という時は、引き出しの奥のアクセサリーや箱に入った時計など、小さくて値段のつきやすい物だけでも先に取り分けておくと安心です。査定の場では、金額を聞いてから売るかどうかを決めて大丈夫です。

どんな物が売れるかは実家の片付けで売れるもの一覧で確かめてみてください。

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捨てる前に、実家の品の査定額を確かめる

金・貴金属やアクセサリー、ブランド品、時計、骨董品、古いお金なども、まとめて査定してもらえます。運び出しが大変な時は出張査定、まずは写真で聞きたい時はLINE査定も選べます。金額を聞いてから売るかどうか決めましょう。

査定料無料公式サイトで査定方法を確認する

買取の対象や条件は品物によって変わります。最新の条件は公式サイトで確認してください。

空き家として管理する場合にやること

すぐに売らない場合は、空き家として家を守っていくことになります。誰も住まない家は、思った以上に早く傷んでしまうんです。

空き家の管理で確かめたいこと
  • 窓を開けて換気し、水道の水を流して通水する
  • 雨漏りや窓の破損、外壁のはがれがないか見る
  • 郵便受けに郵便やチラシがたまっていないか確かめる
  • 庭木の枝が道路や隣の家にはみ出していないか見る
  • 地震や大雨、大雪の後は、傷みが出ていないか確かめる

これらは、国の空き家の管理の指針でも挙げられている点です。遠方などで自分で管理できない時は、管理事業者や空家等管理活用支援法人などへの委託も考えられる、とされています。

管理を家族で分担する

空き家の管理は、一度だけでなく続けていくものです。近くに住む家族が見回り、遠くに住む家族が費用や手続きを受け持つなど、得意な形で分けると長続きします。

見回りの日には、家の外と中の写真を撮って家族で共有しておくと、傷みの変化に気づきやすくなります。親に家の様子を伝える時にも役立ちます。

放置すると固定資産税が上がることも

管理されずに傷んだ空き家は、市区町村から指導や勧告を受けることがあります。2023年の空家法の改正で、「管理不全空家」への指導・勧告の仕組みもできました。

勧告を受けると、固定資産税の住宅用地の特例(200㎡以下の部分は6分の1など)が外れてしまいます。管理の手間を減らしたい時ほど、売るか残すかの判断を早めにしておくと安心です。

月1回の見回りの内容は空き家になった実家の管理、放置した時の影響は空き家の実家を放置するとどうなる?で紹介しています。

売るタイミングで変わる税金の扱い

施設に入った親の家を「親が生きているうちに売る」か「相続した後に売る」かで、使える税の特例が変わります。条件が細かいので、ここでは確かめておきたい点だけを並べます。

売るタイミング売主確かめたい特例主な条件
親が施設にいる間に売る親マイホームを売った時の3,000万円控除(No.3302)以前住んでいた家は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る
親が亡くなった後に相続して売る相続した子など空き家の3,000万円特別控除(No.3306)昭和56年5月31日以前の建築、マンションは対象外、売却代金1億円以下など

空き家の特別控除は、本来「亡くなる直前に親が住んでいた家」が対象です。ただ、要介護認定などを受けて老人ホームなどに入所していた場合も、一定の要件を満たせば対象になります(国税庁 No.3307)。

施設に入っている期間の扱いには細かい要件があります。当てはまるかどうかは、税務署や税理士に確認してください。

補足

空き家の特別控除は、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ令和9年12月31日までの譲渡が対象です。相続人が3人以上の場合、令和6年1月1日以後の譲渡では2,000万円までになります。詳しくは空き家の3,000万円特別控除とはで紹介しています。

売るタイミングで変わる税の特例を示した図解

よくある相談:親が施設に入った後の実家

ネットの相談サイトでも、施設に入った親の家についての相談はとても多いです。代表的なものを要約して答えますね。

両親が老人ホームに入り家を売ることに。タンスなどの家財はどうする?

家を売ると決まったら、引き渡しまでに家財を片付ける必要があります。大きなタンスや食器棚は、自治体の粗大ごみで出すか、許可のある業者に運び出してもらうのが一般的です。

状態の良い家具や、引き出しの中のアクセサリーなどは、捨てる前に買取で値段を確かめてみてください。家具の出し方は実家の家具の処分で紹介しています。

親の介護で一緒に住んでいた実家が、入居後に傷んできた

親と同居して介護をしていた子が、親の施設入居後もその家に住み続けている、というケースです。家が古くなって修繕が必要になり、どうするか迷うこともあります。

家が親名義なら、大きな修繕や建て替え、売却は親の意思が関わります。住んでいる子だけで決めず、親や兄弟と相談しながら進めましょう。

父が亡くなり母も施設へ。実家の固定電話はどうすればいい?

固定電話は、契約している電話会社に連絡すれば解約できます。ただ、電話番号を連絡先にしている契約があれば、先に携帯電話などへ連絡先を変えておきましょう。

判断能力が低下した親の施設費用のために、子が家を売れるって本当?

子が親に代わって、親名義の家を自由に売れるわけではありません。親が自分で判断できない場合は、家庭裁判所の成年後見の手続きを使って進めることになります。

ネットでは「売れる」「売れない」と両方の情報が見つかって混乱しますよね。家族の状況で進め方が変わるので、家庭裁判所や司法書士・弁護士に相談してみてください。名義と売却の基本は実家を勝手に売却された・売却したい時でも紹介しています。

よくある質問

親が施設に入ったら、実家はすぐに売ったほうがいいですか?

急ぐ必要はありません。親の希望、戻る可能性、管理の手間、施設の費用などを家族で話してから決めましょう。ただ、親が売主として売る場合のマイホームの特例には期限があるので、売るなら時期も確かめておくと安心です。

施設に入った親の家を、子の名義に変えてから売れますか?

親から子へ名義を移すと、贈与や売買などの扱いになり、税金がかかることもあります。名義を動かす前に、税務署や税理士、司法書士に相談してください。

親が施設に入った後、実家の片付けはいつやればいいですか?

施設に持って行く物と大事な書類は入居前に、残りの家財は家をどうするか決めてからで大丈夫です。売ると決めたら、引き渡しの日から逆算して片付けの予定を立てましょう。

実家を売ったお金を、親の施設の費用に充ててもいいですか?

親名義の家を売ったお金は親のお金なので、親のために使うのは自然なことです。親の意思を確かめ、何に使ったかを記録しておくと、兄弟の間でも説明しやすくなります。

空き家にしている間の固定資産税は誰が払いますか?

固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に課税されます。親名義の家なら親に納付書が届くので、誰が支払うかを家族で決めておきましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 親が施設に入った後の実家は、残す・管理する・売る・貸すの4つから選ぶ
  • 親名義の家は、親本人が売主として売るのが原則
  • 親が判断できない時は、家庭裁判所の成年後見の手続きが関わる
  • 片付けは、施設に持って行く物と大事な書類を先に、売れる物は親の了解を得て査定へ
  • 売るタイミングで使える税の特例が変わるので、税務署や税理士に確認する

実家じまいの全体の流れは実家じまいの進め方を最初から最後までで見られます。親の気持ちを聞きながら、家族で納得できる形を探していきましょう。

実家じまい.jp

実家じまい.jp 編集部

親の家(実家)の片付け・遺品整理・家財の処分と売り方・空き家の売却や解体・相続登記と税金まで、実家じまいの進め方を、公的機関の情報と各社の公式情報をもとに整理している情報サイトです。 公式サイト

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