実家を勝手に売却されることはある?名義と同意の基本と確かめ方

実家の売却の書類に印鑑を押す前に手を止める手元のイラスト

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兄弟の誰かが、実家を売る話を勝手に進めているらしい。そんな話を耳にしたら、胸がざわざわして落ち着きませんよね。

実家を片付ける人

兄が不動産会社の人を実家に呼んでいると、近所の人から聞きました。私には何の相談もありません。このまま勝手に売られてしまうんでしょうか。

案内役

実家を売れるのは、登記簿に名義が載っている人だけです。まずは今の名義が誰なのかを確かめれば、何が起こりうるのかが見えてきますよ。

結論から言うと、名義人でない人が実家を勝手に売却することはできません。共有なら、共有者全員がそろわないと家全体は売れないんです。この記事では、名義と同意の基本、印鑑を押す前に確かめること、名義の確かめ方が分かります。

目次

名義人でなければ、実家は売れない

先に結論

家を売る時は、売主から買主へ登記の名義を書き換えます。そのため、名義人の同意がないまま家を売ることはできません。親が健在なら名義人は親、親が亡くなった後は相続人みんなの共有になります。

親が亡くなると、遺産を分けるまでの間、実家は相続人みんなの共有の財産になります。兄弟の一人が「長男だから」と言っても、それだけで家全体を売ることはできないんです。

心配になる場面ごとに、勝手に売れるのかどうかを表にしてみました。

心配な場面勝手に売れる?今できること
親が健在なのに、兄弟が売る話をしている売れない(決めるのは名義人の親)親本人に、どうしたいかを聞く
親が亡くなり、兄弟の一人が売ろうとしている遺産分割の前なら一人では売れない相続人全員で分け方を話し合う
遺産分割協議書や書類に印鑑を頼まれた押印の内容しだいで売れるようになる内容を確かめるまで押さない
兄弟の共有名義になっている家全体は全員がそろわないと売れない持ち分と、全員の意向を確かめる
家の中の家財を売られそう親が亡くなっていれば相続人みんなの物品物の一覧を作り、勝手に処分しないよう伝える

『じゃあ安心だね』と思いたいところですが、気をつけたい場面もあります。それが、表の3つ目の「印鑑を頼まれた時」です。

印鑑を押す前に、確かめたいこと

遺産分割協議書に「実家は兄が相続する」と書かれていて、それに印鑑を押した場合。その後は、兄が自分の名義にして、自分の判断で売れるようになります。

つまり、「勝手に売られた」と感じるケースの多くは、前に押した印鑑が関わっているんです。押す前の確認が、いちばんの防ぎ方になります。

印鑑を押す前の確認リスト
  • 書類の題名と、実家を誰が相続すると書いてあるかを読む
  • 売る場合の代金の分け方が書かれているか確かめる
  • 白紙や、内容が空欄の書類には押さない
  • 実印や印鑑証明書を、兄弟でも預けっぱなしにしない
  • 押した書類のコピーをもらっておく
  • 分からない言葉があれば、押す前に司法書士や弁護士に聞く
印鑑を押す前に確かめたいことの図解
よくある失敗

「手続きに要るから」と言われて、内容をよく読まずに書類に実印を押してしまった。後になって、自分の取り分がほとんどない分け方だったと気づく。そんなことにならないよう、急かされても「一度持ち帰って読ませて」と伝えて大丈夫です。

実家を片付ける人

兄に「早く印鑑を押して」と言われると、断りにくいんです。

案内役

「内容を理解してから押したいから、少し時間をちょうだい」と伝えれば十分です。家族だからこそ、納得して押すことがお互いのためになりますよ。

名義が変わっていないか不安な時の確かめ方

『もう名義を変えられているかも』と不安な時は、実家の登記事項証明書を取ってみましょう。法務局で請求でき、今の名義人と、いつ・どんな理由で名義が変わったかが分かります。

名義を確かめる流れ
  1. 実家の土地と建物の所在(地番や家屋番号)を、固定資産税の通知や権利証で確かめる
  2. 法務局で、土地と建物それぞれの登記事項証明書を請求する
  3. 所有者の欄で、今の名義人が誰かを見る
  4. 名義が変わっていれば、その日付と理由(相続、売買など)を確かめる
  5. 気になる点があれば、証明書を持って司法書士や弁護士に相談する
実家の名義を登記事項証明書で確かめる流れの図解

土地と建物は、登記が別々になっています。片方だけ見て安心せず、両方を確かめておきましょう。

名義が親のままなら、まずは話し合いの段階

親が亡くなっているのに名義が親のままなら、まだ誰も相続登記をしていない状態です。この段階で家全体を売るには、相続人全員の関わりが要ります。

ただ、相続登記は令和6年4月1日から義務になり、取得を知った日から3年以内に登記する決まりです。放っておかず、兄弟で分け方を話し合うきっかけにしてみてください。

自分が実家を売却したい時は

反対に、『自分は売りたいのに、兄弟が反対している』という方もいますよね。親が亡くなった後の実家は相続人みんなの物なので、一人の判断で売ることはできません。

売るための道は、大きく分けて2つです。遺産分割で「売って代金を分ける」と決めるか、実家を一人の名義にしたうえで、その人が売るかです。どちらにしても、兄弟の合意が出発点になります。

反対する兄弟には、理由を聞くところから

売ることに反対する兄弟には、たいてい理由があります。思い出の家を手放したくない、自分が住みたい、売るタイミングが早すぎると感じている、などです。

例えばこんなふうに聞いてみてください。「売るのが嫌なのは、どんな理由から?残したいなら、管理や固定資産税をどうするかも一緒に考えたい」。理由が分かれば、残す・売るの間の選択肢も見えてきます。

兄弟だけで決めきれない時の場として、家庭裁判所の遺産分割調停があります。申し立てる時に納めるのは、亡くなった人1人につき収入印紙1,200円分と、連絡用の郵便切手です。分け方の選び方は遺産分割と実家、兄弟での進め方は兄弟で進める実家じまいで紹介しています。

実家の「勝手に」をめぐって、よく届く相談

実家や遺品を勝手に売られた、売られそう、という悩みは、ネットの相談サイトにも寄せられています。いくつかを要約して答えますね。

兄が勝手に実家を売ろうとしている

親が亡くなり、兄が「自分が長男だから」と実家を売る話を進めている、という相談です。

遺産分割の前なら、実家は相続人みんなの共有なので、兄一人の判断で家全体を売ることはできません。まずは登記事項証明書で今の名義を確かめ、兄に「売るなら、分け方を全員で話し合ってから」と伝えましょう。

兄が書類に印鑑を求めてきたら、内容を確かめるまで押さないことが大切です。話し合いが難しい時は、弁護士に相談してみてください。

預けていた親の遺品の貴金属を、親族の家族に売られてしまった

母の遺品の貴金属を親族に預けていたところ、その家族が買取店に売ってしまっていた、という相談です。

親が亡くなった後の遺品は、遺産分割が終わるまで相続人みんなの財産です。誰かが一人の判断で売ってしまうと、相続人どうしの大きなもめごとになります。

まずは、いつ・何を・いくらで売ったのかを確かめて、記録に残しておきましょう。話し合いで解決しない時は、弁護士に相談してください。値打ちのある遺品は、預ける前に写真と一覧を作っておくと、こうした行き違いを防ぎやすくなります。

相続で名義は自分になったのに、兄が実家に住み始めた

遺産分割で実家を自分の名義にしたのに、兄が引っ越してきて住んでいる、という相談です。

名義人は自分なので、実家をどうするかを決めるのは自分です。ただ、兄が住み始めた事情もあるはずなので、まずは「いつまで住むつもりか」「家をどうしたいか」を落ち着いて話し合ってみましょう。

話し合いでどうにもならない時は、一人で抱え込まずに弁護士に相談してください。

遺品を売る時こそ、兄弟の合意をとってから

実家を片付けていると、金の指輪やネックレス、腕時計、着物など、値打ちのありそうな物が出てくることがあります。親が亡くなっていれば、こうした物も相続人みんなの財産です。

自分が売る側になる時も、「勝手に売った」と言われないよう、兄弟に一覧を見せて合意をとってから進めましょう。売れたお金を片付けの費用にあてるのか、兄弟で分けるのかも、先に決めて記録しておくと安心です。

相続放棄を考えている兄弟がいる場合は、売ったり捨てたりする前に、家庭裁判所や弁護士に相談しておきましょう。

合意がとれたら、捨てる前に査定で値打ちを確かめるのがおすすめです。『古いから値段はつかないだろう』と思う物でも、金やプラチナなら素材として値段がつくことがあります。

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捨てる前に、実家の品の査定額を確かめる

金・貴金属やアクセサリー、ブランド品、時計、骨董品、古いお金なども、まとめて査定してもらえます。運び出しが大変な時は出張査定、まずは写真で聞きたい時はLINE査定も選べます。金額を聞いてから売るかどうか決めましょう。

査定料無料公式サイトで査定方法を確認する

買取の対象や条件は品物によって変わります。最新の条件は公式サイトで確認してください。

どんな物に値段がつきやすいかは実家の片付けで売れるもの一覧、売り先の選び方は実家の品はどこで売る?で紹介しています。兄弟とのやり取りで気持ちが疲れた時は実家の片付けがつらい・大変な時や実家じまいが寂しい・つらい時も読んでみてください。実家じまい全体の順番は実家じまいとは?やることの順番にまとめています。

よくある質問

親が生きている間に、子が勝手に実家を売ることはできますか?

できません。実家を売れるのは名義人である親です。親が自分で判断するのが難しくなっている場合は、家庭裁判所の手続きが関わることがあるので、専門家に相談しましょう。

共有名義の実家の、自分の持ち分だけを売ることはできますか?

持ち分の扱いには細かな決まりがあり、家族の関係にも大きく影響します。考えている場合は、兄弟と話す前に司法書士や弁護士に相談しておくと安心です。

実家の名義が変わっていないか、定期的に確かめる方法はありますか?

気になる時に、法務局で登記事項証明書を取って確かめるのが基本です。土地と建物の両方を見て、名義人と変更の日付を確かめましょう。

兄弟に実印を預けてしまいました。どうすればいいですか?

できるだけ早く返してもらいましょう。何かの書類に押されていないか不安な時は、登記事項証明書で名義を確かめ、必要なら弁護士に相談してください。

まとめ

この記事の要点
  • 実家を売れるのは登記簿の名義人だけ。親が健在なら親が決める
  • 親が亡くなった後は、遺産分割まで相続人みんなの共有になる
  • 共有の家全体を売るには、共有者全員がそろう必要がある
  • 「勝手に売られた」の多くは、前に押した印鑑が関わっている
  • 心配な時は、土地と建物の登記事項証明書で名義を確かめる
  • 遺品を売る時も、兄弟の合意をとってから

不安な時ほど、まずは事実を確かめることが落ち着く近道です。登記事項証明書を1通取って、兄弟と同じ情報を見ながら話してみてください。

実家じまい.jp

実家じまい.jp 編集部

親の家(実家)の片付け・遺品整理・家財の処分と売り方・空き家の売却や解体・相続登記と税金まで、実家じまいの進め方を、公的機関の情報と各社の公式情報をもとに整理している情報サイトです。 公式サイト

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