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親が施設に入ったり亡くなったりして、実家が空き家のまま何年も経ってしまった。気にはなっているけれど、忙しくて手がつけられない。そんな方は少なくないはずです。
実家をもう5年くらい空き家のまま放置しています。このままだと、何かまずいことになりますか?
すぐに何かが起きるわけではありません。ただ、傷みが進んで市区町村から指導や勧告を受けると、固定資産税が上がることもあるんです。今のうちに状況を知っておきましょう。
結論から言うと、空き家の放置で困るのは「家の傷み」「近所への影響」「税金」「売りにくさ」の4つです。この記事では、法律で決まっていることと、通知が届いた時の動き方を順に紹介します。
空き家を放置すると、まず何が起きる?
人が住まない家は、換気も通水もされません。湿気やカビ、配管の傷みが進みやすく、気づいた時には修繕が大がかりになっていることもあります。
国が示している空き家の管理の指針でも、空き家は不具合が見つかりにくく、傷みが早く進む傾向があるとされています。だからこそ、定期的な点検や換気が大事だと書かれているんです。
放置が長くなると、家の中だけでなく周りにも影響が出てきます。
- 屋根や外壁の一部がはがれて、落ちたり飛んだりする
- 庭木の枝が伸びて、隣の敷地や道路にはみ出す
- 排水口の水が切れて、においや虫が出る
- 郵便物やチラシがたまり、人が住んでいないことが外から分かる
- 動物が住みついたり、ごみを捨てられたりする
『うちはまだ大丈夫』と思っていても、台風や大雪の後に一気に傷むこともあります。国の指針でも、地震や強風、大雨、大雪の後には点検が必要とされています。
国の管理の指針では、空き家を点検する時の見どころとして、次のような観点が挙げられています。
| 点検の観点 | 例えばこんな状態 | 手当ての例 |
|---|---|---|
| 危なくないか | 屋根材や外壁が落ちそう、塀や擁壁が傾いている | 修繕を頼む、危ない所に近づけないようにする |
| 衛生面は大丈夫か | 汚水やごみ、害虫、動物のふん | 片付けと清掃、封水の注入 |
| 見た目が荒れていないか | ごみが散らかっている、山積みになっている | ごみを出し、敷地を片付ける |
| 周りに迷惑はないか | 枝のはみ出し、においや落雪、不法侵入 | 定期的な剪定、戸締まりの確認 |
全部を一度に完璧にする必要はありません。まずは外から見て目立つ所、周りに影響が出そうな所から手をつけていけば大丈夫です。
近所の方から連絡が来たらどうしようと、ずっと気が重くて。
その気持ち、よく分かります。連絡先を近所の方に伝えておくだけでも、何かあった時に早く知らせてもらえますよ。放置しているつもりがなくても、知らせる手段がないと放置に見えてしまうんです。
放置が長いほど、売りにくくなる
放置の影響は、売る時にも出てきます。買い手や不動産会社は、雨漏りの跡や床の傷み、庭の荒れ具合を見て価格を考えるからです。
傷みが進むほど、直す費用を見込まれて価格は下がりやすくなります。建物の価値が見込めず、壊して土地として売るしかない、という話になることもあります。
『いつか売るつもり』なら、売るまでの間の手入れが、そのまま価格を守ることにつながるんです。
空き家は全国で増えている
総務省の令和5年住宅・土地統計調査では、空き家は900万2千戸で過去最多、空き家率は13.8%で過去最高でした。このうち、賃貸用や売却用、別荘などを除いた空き家は385万6千戸あります。
実家が空き家になっているのは、決して珍しいことではありません。ただ、数が増えた分、国や市区町村の対策も強くなっています。
2023年の空家法改正で、放置の扱いが変わった
空き家については「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空家法)という法律があります。2023年(令和5年)6月14日に改正法が公布され、12月13日から施行されました。
これまでは、倒壊のおそれがあるなどの特定空家が主な対象でした。改正で、そのまま放置すれば特定空家になるおそれがある「管理不全空家」にも、市区町村が指導や勧告をできるようになりました。
所有者には、周りの生活環境に悪い影響を与えないよう、空き家を適切に管理する努力義務があります。改正では、国や市区町村の施策に協力する努力義務も加わりました。
| 空き家の状態 | どんな状態か | 市区町村ができること |
|---|---|---|
| 管理不全空家 | このまま放置すると特定空家になるおそれがある(例えば窓が割れたまま) | 指導、改善されなければ勧告 |
| 特定空家 | 倒壊など保安上危険なおそれ、衛生上有害なおそれ、景観を著しく損なうなど | 助言・指導、勧告、命令 |
| 命令に従わない特定空家 | 正当な理由なく、勧告された措置をとらない | 50万円以下の過料、代執行 |

改正では、緊急時の代執行の制度もつくられました。命令などの手続きを経る時間がない緊急時に、市区町村が対応できるしくみです。
所有者が分からない空き家への対策も強くなった
改正では、市区町村が電力会社などに所有者の情報を求められるようになりました。相続放棄された空き家などについて、市区町村長が裁判所に財産管理人の選任を請求できるしくみもできています。
名義が亡くなった親のままでも、相続人に連絡が来ることはあります。誰が窓口になるのか、兄弟で決めておくと慌てずに済みます。
いきなり壊されるわけではない
表を見ると不安になりますよね。ただ、いきなり命令や代執行になるわけではありません。まずは指導があり、改善されなければ勧告、という順を踏みます。
つまり、指導の段階で手を打てば、その先には進みません。通知が届いたら、それは「今なら間に合う」というお知らせでもあるんです。
空き家の対策は、所有者と連絡がつくところから始まります。通知に返事をして相談を始めるだけでも、何をいつまでにすればいいかがはっきりして、気持ちがずいぶん楽になるはずです。遠方で動けない事情があるなら、それも正直に伝えてみてください。
勧告を受けると、固定資産税の特例が外れるしくみ
「空き家は放置したほうが固定資産税が安い」と聞いたことがあるんですが、本当ですか?
住宅が建っている土地には、税金を軽くする特例があるので、更地より安くなることが多いんです。ただ、放置して勧告を受けると、その特例が外れてしまいます。
固定資産税には、住宅用地の特例があります。住宅が建っている土地は、評価額を軽くして税金を計算するしくみです。
| 土地の部分 | 特例の割合 |
|---|---|
| 200㎡以下の部分(小規模住宅用地) | 評価額の6分の1 |
| 200㎡を超える部分(家屋の床面積の10倍まで) | 評価額の3分の1 |
この特例は、管理不全空家や特定空家として市区町村長から勧告を受けると、外れることになっています。建物は残っているのに、更地と同じように土地の税金が計算されるイメージです。
固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に課税されます。登記簿上の所有者が親のままだと、通知が誰に届くのかも分かりにくくなります。相続した家なら、相続登記も合わせて進めておきましょう。
『放置したほうが税金が安い』は、勧告を受けていない間だけの話です。放置すればするほど勧告に近づくので、安く済む状態は長く続かないと考えておいたほうが安心です。
兄弟で相続した空き家は、税金を誰が払っているかも確かめる
固定資産税の納税通知書は、相続人の代表一人に届くことがあります。届いた人が黙って払い続けていて、ほかの兄弟は知らなかった、という話もよく聞きます。
税金を払っている人だけが負担を抱え込むと、話し合いがこじれる原因になります。通知書が誰に届いているか、毎年いくら払っているかを兄弟で共有しておきましょう。
市区町村から通知が届いたら、こう動く
『役所から封筒が届いて、開けるのが怖い』という方もいるはずです。でも、通知は改善のための連絡です。慌てず、中身を確かめるところから始めましょう。
- 通知の種類を確かめる(情報提供のお願い、指導、勧告など)
- 指摘されている箇所を確かめる(屋根、外壁、庭木、ごみなど)
- 書かれている担当課に電話して、何をいつまでにすればいいか聞く
- 現地を見に行く、または近くの家族や管理の事業者に見てもらう
- 修繕、草木の手入れ、ごみの片付けなど、指摘された点に手を打つ
- 対応した内容を担当課に伝える
電話では、こんなふうに伝えると話が早く進みます。「実家の空き家の件で通知をいただきました。遠方に住んでいるのですが、どこから手をつければいいか教えていただけますか」。
遠方で自分では見に行けない時は、管理を請け負う事業者に頼む方法もあります。改正では、市区町村が空家等管理活用支援法人を指定できるようになり、所有者への相談や定期的な確認などを担う法人もあります。実家のある市区町村に、指定している法人があるか聞いてみてください。
名義が親のままなら、相続登記も合わせて進める
通知への対応と一緒に考えたいのが、相続登記です。相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に申請する決まりで、2024年4月1日より前の相続も対象になります。
名義が親のままだと、売ることも、誰が管理の責任を持つのかをはっきりさせることも難しくなります。法務局や司法書士に相談してみてください。
通知をきっかけに家財を処分したり、家を売ったりすると、相続放棄ができなくなるおそれがあります。放棄を考えているなら、手を打つ前に家庭裁判所や弁護士に相談しましょう。
放置をやめるための3つの道
空き家の放置を終わらせるには、「管理を続ける」「売る」「壊す」のどれかを選ぶことになります。特定空家に近い状態でも、売却を含めて選択肢はあります。
| 選ぶ道 | 向いている時 | 最初の一歩 |
|---|---|---|
| 管理を続ける | 家族の誰かが将来使うかもしれない | 月1回の見回りの担当を決める |
| 売る | 使う予定がなく、手入れを続けるのが難しい | 不動産会社に査定を頼む |
| 壊す | 傷みがひどく、建物を残す意味がない | 家財を片付け、解体の見積もりを取る |
管理を続けるなら、何をどのくらいの頻度ですればいいかを空き家になった実家の管理で紹介しています。
管理を続けると決めた場合も、固定資産税や火災保険、交通費、草刈りなどの費用は毎年かかります。何年続けるのか、いつ見直すのかを決めておかないと、気づけば10年、ということになりがちです。
「3年たったら、売るか残すかもう一度話す」のように、見直す時期を家族で決めておくのがおすすめです。
傷んだ空き家や特定空家に近い家を売るには
傷みが進んだ空き家でも、売れないとは限りません。土地として買い手がつくこともありますし、不動産会社が直接買い取る方法もあります。
特定空家に指定されそうな家の売却は、時間との勝負になることもあります。仲介で買い手を待つ余裕がない時は、買取も含めて相談してみてください。くわしくは空き家の買取とは?で紹介しています。
亡くなった親が一人で住んでいた家なら、空き家の3,000万円特別控除が使えることもあります。昭和56年5月31日以前の建築で、マンションは対象外、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る、などの条件があります。条件は空き家の3,000万円特別控除とはで確かめられます。
地元で買い手を探すなら
市区町村によっては、空き家バンクで買い手や借り手を探せることもあります。売るか貸すか決めきれない時の選択肢の一つです。
地元で家を探している人に届きやすいのが、空き家バンクのよいところです。登録の流れは空き家バンクで実家を手放すで紹介しています。
家財が残ったまま放置している時の、最初の一歩
家の中は、親が住んでいた時のままです。どこから手をつけていいのか…。
最初は「探す日」にしてみてください。通帳や権利証などの大事な物と、値段がつきそうな物を見つけるだけで、次にやることが見えてきますよ。
長く放置した家では、家財がそのまま残っていることがほとんどです。管理するにしても売るにしても、家の中の物を減らすことが出発点になります。
- 通帳、印鑑、権利証や登記識別情報、保険の書類
- 固定資産税の納税通知書
- 写真、手紙など、家族が残したい物
- 指輪、ネックレス、腕時計、ブランドのバッグ
- 着物、器、掛け軸、古いお金や切手

金や貴金属、時計、着物などは、古くても値段がつくことがあります。長く置いたままで汚れていても、自分で判断して捨てる前に、一度査定で確かめてみてください。売れる物の見分け方は実家の片付けで売れるもの一覧で紹介しています。
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捨てる前に、実家の品の査定額を確かめる
金・貴金属やアクセサリー、ブランド品、時計、骨董品、古いお金なども、まとめて査定してもらえます。運び出しが大変な時は出張査定、まずは写真で聞きたい時はLINE査定も選べます。金額を聞いてから売るかどうか決めましょう。
査定料無料公式サイトで査定方法を確認する買取の対象や条件は品物によって変わります。最新の条件は公式サイトで確認してください。
出張で査定に来てもらう時は、その場で決めなくて大丈夫です。訪問購入にはクーリング・オフ(書面を受け取ってから8日以内)があり、心配な時は消費者ホットライン188に相談できます。
空き家の放置でよくある相談
長く放置してしまった方からは、「今からでも間に合う?」という切実な声が届きます。よくある4つの相談に答えます。
9年放置して老朽化が進み、家財もそのまま。何から始めれば?
まずは現地で、屋根や外壁、庭木など、周りに迷惑をかけそうな所がないかを確かめましょう。危ない所があれば、そこの手当てが最優先です。
そのうえで、大事な物と売れる物を探し出し、売るか壊すかを家族で決めます。名義が親のままなら、相続登記も並行して進めてください。
更地にするより、空き家のままのほうが固定資産税が安いのはなぜ?
住宅が建っている土地には住宅用地の特例があり、評価額が6分の1や3分の1に軽くされているからです。更地にすると、この特例の対象から外れます。
ただ、放置して管理不全空家や特定空家として勧告を受けると、建物があっても特例は外れます。税金のために放置する、という考え方は長くは通用しません。
いつか使うかもしれないと、ずっと置いている。デメリットは?
使う予定があるなら、残すのは一つの選択です。ただ、人が住まない家は傷みが早く、使う時になって大きな修繕が必要になることもあります。
「いつか」をはっきりさせるために、5年後に誰が使うのか、家族で一度話してみてください。決まらないなら、管理の担当と、見直す時期だけでも決めておくと安心です。
夫が週末ごとに仏壇の世話に通っていて、売る話が出せない
仏壇があるから家を手放せない、というのはよくある悩みです。家と仏壇は切り離して考えることができます。
仏壇を自宅に移す、お寺に相談するなど、仏壇の行き先を先に決めると、家をどうするかの話もしやすくなります。仏壇の扱いは実家じまいで仏壇はどうする?で紹介しています。
よくある質問
空き家を放置すると、すぐに罰金がありますか?
放置しただけですぐに罰金になるわけではありません。特定空家として命令を受け、それに違反した場合に50万円以下の過料が定められています。その前に、指導や勧告の段階があります。
特定空家に指定された家でも、売却できますか?
売却はできます。ただ、傷みが進んでいるほど買い手は限られるので、土地として売る、不動産会社の買取を使うなど、売り方を広げて相談してみてください。
遠方に住んでいて、空き家を見に行けません。どうすればいいですか?
近くに住む親族に見回りを頼む、管理を請け負う事業者に頼む、といった方法があります。市区町村が空家等管理活用支援法人を指定している場合もあるので、窓口で聞いてみましょう。
空き家の放置で、近所に迷惑をかけないためにできることは?
庭木の剪定、郵便物の整理、戸締まりの確認を続けることです。近所の方に連絡先を伝えておくと、何かあった時に早く知らせてもらえます。
空き家の放置で勧告を受けたら、もう特例は戻りませんか?
勧告の後にどう手続きが進むかは、市区町村の判断によります。指摘された点を改善した場合の扱いも含めて、通知に書かれた担当課に早めに相談してみてください。
まとめ
- 空き家を放置すると、傷み・近所への影響・税金・売りにくさの4つで困りやすい
- 2023年12月13日施行の改正空家法で、特定空家の手前の管理不全空家にも指導・勧告ができるようになった
- 勧告を受けると、固定資産税の住宅用地の特例(6分の1・3分の1)が外れる
- 通知が届いたら、指摘箇所を確かめて担当課に相談すれば、その先には進まない
- 放置をやめる道は、管理を続ける・売る・壊すの3つ。家財の中の売れる物は先に査定へ
放置を終わらせた後の片付けや売却の順番は、実家じまいのやることと順番で確かめられます。気が重い空き家も、まずは一度見に行くところから始めてみてください。







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