実家を相続して売却する手順|遺産分割・相続登記・税金の順番

兄弟で相続した実家の売却について書類を確かめる様子のイラスト

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親を見送ったあと、誰も住まない実家をどうするか。『兄弟で相続した家、売るならどういう順番で進めればいいの?』と悩む方は少なくありません。

実家を片付ける人

父が亡くなり、実家を兄と私で相続することになりそうです。二人とも住む予定はないので売りたいのですが、何から始めればいいでしょう。

案内役

相続した実家を売る時は、売る前に「誰の名義にするか」を兄弟で決めることが出発点になります。順番さえ押さえれば、一つずつ進められますよ。

結論から言うと、実家を相続して売却する時は「遺言の確認、遺産分割の話し合い、相続登記、売却、確定申告」の順に進めます。この記事を読むと、亡くなった親の家を売るまでの順番と期限、兄弟で売る時の名義の決め方、使える税の特例の注意点が分かります。

目次

亡くなった親の家を売るまでの順番

先に結論

相続した実家は、相続人の話し合いで「誰がどう受け継ぐか」を決め、その内容で相続登記をしてから売ります。名義が亡くなった親のままでは、売買の登記ができません。

亡くなった親の家は、相続が始まった時点で相続人みんなの共有の財産になります。そのため、売る前に相続人どうしで分け方を決めておく必要があるんです。

相続した実家を売る順番
  1. 遺言書があるかを探す
  2. 戸籍を集めて、相続人が誰なのかを確かめる
  3. 借金などがないか財産を調べ、相続するか放棄するかを決める
  4. 遺産分割協議で、実家を誰の名義にしてどう売るかを決める
  5. 決めた内容で相続登記をする
  6. 不動産会社に査定を頼み、売却を進める
  7. 売った翌年に確定申告をする
相続した実家を売るまでの順番の図解

遺言書と相続人は、最初に確かめる

遺言書が見つかって、実家の行き先が書かれていれば、その内容が話し合いの出発点になります。仏壇の引き出しや金庫、親が通っていた銀行の貸金庫などを一度探してみてください。

見つけた遺言書の扱いに迷ったら、自分で開ける前に家庭裁判所や弁護士、司法書士に相談すると安心です。

相続人が誰になるかは、民法で順番が決まっています。親の配偶者は常に相続人で、子がいれば子も相続人です。

相続人の組み合わせ法定相続分
配偶者と子配偶者2分の1、子2分の1(子が複数なら均等に分ける)
子だけ(配偶者がすでに亡くなっている)子どうしで均等
配偶者と亡くなった親の兄弟姉妹(子も親もいない場合)配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1

法定相続分は、話し合いがまとまらない時の目安です。相続人全員が納得すれば、これと違う分け方にしても構いません。

最初の3か月で決めておきたいこと

相続放棄や限定承認をするなら、相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申し立てる決まりです。期間は家庭裁判所で延ばしてもらうこともできます。

親に借金があるかもしれない時は、実家の片付けや売却より先に、相続するかどうかを決めましょう。相続放棄を考えている人が家財を売ったり捨てたりすると、相続を認めたとみなされるおそれがあります。

『家の中だけでも先に片付けたい』という気持ちは自然ですよね。ただ、放棄を考えているなら、手をつける前に家庭裁判所や弁護士に相談しておくと安心です。

相続から売却までの期限を、売る側の目線で並べる

相続には、期限が決まっている手続きがいくつかあります。売却のスケジュールとどう関わるのかを見ておきましょう。

時期の目安手続き売却とのかかわり
相続の開始を知った時から3か月以内相続放棄・限定承認の申述放棄した人は売主になれない
相続の開始を知った日の翌日から4か月以内親の準確定申告売却とは別に、亡くなった年の所得の申告
亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内相続税の申告・納税(必要な場合)売ったお金を納税にあてる計画なら、時期を逆算する
相続で取得したことを知った日から3年以内相続登記売るなら、売り出す前に済ませる
相続税の申告期限の翌日以後3年以内取得費加算の特例の対象期間相続税を払った人が、この間に売ると使えることがある
相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで空き家の3,000万円特別控除の売却期限この日を過ぎて売ると使えない

相続税は、遺産の合計が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える時にだけ申告が要ります。例えば法定相続人が2人なら4,200万円です。

法定相続人の数は、相続放棄をした人がいても、放棄がなかったものとして数えます。兄弟の一人が放棄しても、基礎控除額は減らないんです。

準確定申告は、亡くなった親のその年の所得を申告する手続きです。年金や家賃収入があった親なら、実家の売却とは別に忘れずに済ませておきましょう。

相続税がかかるかどうかは、実家を相続したら相続税はかかる?で確かめられます。

実家を片付ける人

期限がこんなにあるなんて。全部覚えていられる自信がありません。

案内役

大丈夫ですよ。親が亡くなった日を書いたメモに、表の期限を全部書き込んでおくだけで十分です。兄弟とも同じメモを共有しておきましょう。

兄弟で相続した実家は、誰の名義で売る?

兄弟で実家を相続して売る時は、名義の入れ方を大きく2つから選びます。どちらがいいかは、兄弟の住まいや関係で変わってきます。

比べるところ1人の名義にして売る兄弟全員の共有名義で売る
相続登記代表になる1人の名義で登記全員の持ち分で登記
売買契約名義人1人が売主になる共有者全員が売主になる
手続きの手間窓口が1人なので進めやすい書類のやり取りや署名が全員分要る
売ったお金協議書の決め方に沿って兄弟で分ける持ち分に応じて受け取る
税金の申告協議の内容によって変わるので専門家に確認持ち分ごとにそれぞれ申告
兄弟で相続した実家を1人の名義と共有名義で売る違いの図解

共有名義で売ると、遠方に住む兄弟にも契約書類の署名などをお願いすることになります。誰か一人でも連絡がつきにくいと、話が止まってしまうことも。

1人の名義にして売り、売ったお金を分ける方法を選ぶ時は、その分け方を遺産分割協議書にはっきり書いておきましょう。お金の分け方によって税金の扱いが変わることもあるので、協議書を作る前に税理士に相談しておくと安心です。

母が健在なら、母の取り分と住まいも考える

父が亡くなり母が健在の場合、母も相続人です。母が施設に入っているのか、まだ実家に住みたいのかで、売るかどうかの話は大きく変わります。

『自分たちが住まないから売ろう』と兄弟だけで決めてしまうと、母の気持ちが置き去りになることも。母の暮らしの見通しを一緒に考えるところから始めましょう。

もともと父と母の共有名義だった家なら、母の持ち分は母のものです。売る時は、母も売主の一人になります。

話し合いがまとまらない時は

兄弟の一人が「実家を残したい」と考えていて、売る話がまとまらないこともありますよね。そんな時は、家庭裁判所の遺産分割調停を使う方法もあります。

調停の申立ての費用は、亡くなった人1人につき収入印紙1,200円分と郵便切手です。話し合いがつかなければ、自動的に審判に移ります。

なお、相続開始から10年を過ぎてから遺産分割をすると、生前の贈与や介護の貢献などを考える決まり(特別受益・寄与分)が原則として使えなくなります。先送りにしすぎないことも大切です。

兄弟での分け方の選び方は、遺産分割と実家や兄弟での実家じまいで詳しく紹介しています。

相続登記を済ませてから売り出す

相続登記のポイント

相続登記は、令和6年4月1日から義務になりました。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請し、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になることがあります。

令和6年4月1日より前に相続して、まだ登記していない家も対象です。その場合は令和9年3月31日までに登記する必要があります。

登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%です。法務局の「相続人申告登記」は手軽に義務を果たせる方法ですが、売却する時は別に相続登記が要るので、売る予定なら最初から相続登記を選びましょう。

相続登記でよく使う書類の例(詳しくは法務局で確認)
  • 亡くなった親の、生まれてから亡くなるまでの戸籍
  • 相続人全員の戸籍
  • 遺産分割協議書と、相続人全員の印鑑証明書
  • 実家を相続する人の住民票
  • 固定資産税の評価額が分かる書類

評価額が低い土地は、登録免許税がかからないことも

不動産の価額が100万円以下の土地は、令和9年3月31日まで、相続登記の登録免許税が免税になります。田舎の実家で、土地の評価額が低い場合は当てはまるかもしれません。

免税を受けるには、申請書に免税の根拠となる条項を書く必要があります。書き忘れると免税にならないので、法務局の案内で確かめておきましょう。

登記は自分でもできますが、戸籍の収集に時間がかかる時は司法書士に頼む方法もあります。相続登記の義務と手順は、実家の相続登記の義務化で確かめられます。

相続した空き家を売る時に、片付けで気をつけること

名義の準備が進んだら、いよいよ家の中の片付けです。相続した空き家を売却する時は、査定や内覧の前に家財を減らしておくと話が進みやすくなります。

ただ、実家の物は相続人みんなの財産です。誰か一人が判断して処分すると、あとで「勝手に捨てた」と言われてしまうことも。

片付けの前に兄弟で決めておくこと

形見として残したい物を先に聞く、売れた物のお金をどう分けるか決める、捨てる物の範囲を確かめる。この3つを済ませてから片付けを始めると、兄弟の間でこじれにくくなります。

売る前の片付けに、どこまで手をかける?

家財をすべて運び出してから売るのが基本ですが、不動産会社に直接買い取ってもらう場合は、家財が残ったままで相談できることもあります。片付けにかける時間と費用を考えて、査定の時に聞いてみるといいですよ。

片付けや家財処分の費用には決まった相場がないので、頼むなら複数社の見積もりで比べ、追加料金の条件を書面で確かめておきましょう。費用を誰がどう負担するかも、兄弟で先に決めておくと安心です。

例えば、兄が遠方に住み、近くに住む妹が片付けを担う場合。妹が写真を撮って兄に送り、残す物と手放す物を電話で一緒に決めるだけでも、あとの行き違いはぐっと減ります。

片付けの途中では、金の指輪や腕時計、着物、古銭などが出てくることがあります。値打ちが分からない物は、処分の前に買取店で見てもらいましょう。売れたお金は、遺産として兄弟で分けるか、売却の費用にあてるかを決めておくと公平です。

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捨てる前に、実家の品の査定額を確かめる

金・貴金属やアクセサリー、ブランド品、時計、骨董品、古いお金なども、まとめて査定してもらえます。運び出しが大変な時は出張査定、まずは写真で聞きたい時はLINE査定も選べます。金額を聞いてから売るかどうか決めましょう。

査定料無料公式サイトで査定方法を確認する

買取の対象や条件は品物によって変わります。最新の条件は公式サイトで確認してください。

どんな物に値段がつきやすいかは実家の片付けで売れるもの一覧、売り先の選び方は実家の品はどこで売る?が参考になります。

相続した実家の売却について、よく届く相談

相続した実家の売却については、ネットの相談サイトにも多くの声が寄せられています。いくつかを要約して答えますね。

親が安く買った土地を売ったら、税金はどうなる?

親が昔買った土地を相続して売る場合、取得費は親が買った時の金額をもとに計算します。持っていた期間も、親が取得した日から数えます。

売った金額から、取得費と仲介手数料などの譲渡費用を引いた額が利益です。利益が出なければ、譲渡所得の税金はかかりません。

空き家の3,000万円控除のために、電気や水道はいつまでに止める?

国税庁の案内には、電気や水道を何日以内に止めるという決まりは書かれていません。条件になっているのは、相続の時から売る時まで、家を事業や貸付け、住まいに使っていないことなどです。

この点は、売った家のある市区町村から「被相続人居住用家屋等確認書」を受け取って確かめます。どんな書類で確かめるかは市区町村ごとに違うので、早めに窓口に問い合わせておきましょう。

相続放棄をしたら、空き家を売ることはできない?

相続放棄をした人は、初めから相続人ではなかったとみなされます。そのため、放棄した人が実家を売ることはできません。

一方、相続した人は、そのまま売ることも、建物を取り壊して土地を売ることもできます。放棄と片付けの関係は、相続放棄するなら実家の片付けはどうする?で確かめてみてください。

売れない土地なら、国に引き取ってもらう制度もある?

相続した土地が売れそうにないので、相続土地国庫帰属制度を使おうか考えている、という相談もあります。相続した土地を、一定の条件のもとで国に引き取ってもらう制度です。

ただ、建物がある土地は申請できないので、実家が建ったままでは使えません。審査手数料は土地一筆あたり14,000円で、承認されると負担金を納めます。宅地の負担金は、面積にかかわらず20万円が基本です(市街化区域などの宅地は面積に応じて計算)。

申請先は、土地のある都道府県の法務局・地方法務局の本局です。使えるかどうかは、事前に法務局へ相談してみてください。

売ったあとの税金と、使える特例

相続した不動産を売って利益が出たら、売った翌年に確定申告をします。相続した空き家の売却では、税金を軽くする特例が2つあります。

確かめること取得費加算の特例空き家の3,000万円特別控除
使える可能性がある人相続税を払った人亡くなった親が一人で住んでいた家を相続した人
売る時期相続税の申告期限の翌日以後3年以内相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで

この2つは、同じ家と土地では一緒に使えません。どちらが有利かは家によって違うので、税務署か税理士に相談しながら決めましょう。

空き家の3,000万円特別控除は、昭和56年5月31日以前に建てた家に限られ、マンションは対象外です。相続人が3人以上の場合、令和6年1月1日以後の売却では控除が2,000万円までになります。

建物を残して売るか、壊してから売るか

この控除を使うには、建物を残して売るなら耐震基準を満たしていること、壊すなら取り壊してから土地を売ることが条件になります。令和6年1月1日以後の売却なら、売った翌年の2月15日までに買主の側で耐震改修や取り壊しをした場合も対象です。

どの売り方を選ぶかで、手元に残るお金も手間も変わります。不動産会社と税理士の両方に相談しながら決めると安心です。

売ったお金で相続税を払いたい時

相続税がかかる場合、申告と納税の期限は亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。実家を売ったお金で払うつもりなら、売れるまでの時間を見込んで早めに動き出しましょう。

納税は現金で一度に払うのが原則ですが、延納や物納という制度もあります。期限までの申請が要るので、間に合いそうにない時は税務署や税理士に相談してください。

実家を片付ける人

兄弟3人で相続した家なんです。控除が少なくなるのは知りませんでした。

案内役

意外と見落としやすいところですよね。条件は細かいので、売り出す前に税務署か税理士に確かめておくと安心ですよ。

税金の計算の仕方は実家を売った時の税金、控除の条件と確認書の取り方は空き家の3,000万円特別控除とは、申告の流れは実家売却の確定申告で詳しく紹介しています。

査定から引き渡しまでの売却の流れは実家の売却はどう進める?、実家じまい全体の順番は実家じまいとは?やることの順番で確かめられます。

よくある質問

相続登記をしないまま、実家を売ることはできますか?

できません。亡くなった親の名義のままでは、買主への名義の書き換えができないためです。先に相続した人の名義に変えてから売りましょう。

相続した実家は、いつまでに売ればいいですか?

売る期限自体はありません。ただ、空き家の3,000万円特別控除や取得費加算の特例には売る時期の条件があるので、使いたい特例の期限から逆算しておくと安心です。

兄弟の一人が売却に反対しています。どうすればいいですか?

まずは反対する理由を聞いてみてください。話し合いで決まらない時は、家庭裁判所の遺産分割調停を使う方法もあります。

相続した実家を売る時、片付けは誰がやればいいですか?

決まりはないので、相続人どうしで分担を決めます。近くに住む人が多く動くなら、その分の費用や手間をどう考えるかも話し合っておくと、あとでこじれにくくなります。

相続した実家を売ったお金は、どう分ければいいですか?

遺産分割協議で決めた内容に沿って分けます。分け方によって税金の扱いが変わることもあるので、協議書を作る前に税理士に相談しておきましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 相続した実家は、遺産分割で名義を決め、相続登記をしてから売る
  • 相続放棄を考えているなら、片付けや売却の前に相談する
  • 兄弟で売る時は、1人の名義か共有名義かを先に決める
  • 片付けで出てきた売れる物は、処分の前に査定し、お金の分け方も決めておく
  • 取得費加算と空き家の3,000万円控除は、同じ家では一緒に使えない

相続した実家の売却は、兄弟で同じ方向を向けるかどうかが大きな分かれ道です。期限を共有しながら、一歩ずつ進めていきましょう。

実家じまい.jp

実家じまい.jp 編集部

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