田舎の実家を処分する方法|売る・解体・空き家バンク・国庫帰属の選び方

田舎の実家の処分を考える人を表すイラスト

当サイトの記事は、国税庁・法務省・裁判所・国土交通省・環境省・消費者庁・国民生活センターなど公的機関の情報、各買取店の公式情報、Yahoo!知恵袋などの公開された声をもとに編集部が独自に執筆しています。制度や公式情報は記事執筆時点のもので、変わることがあります。

親が暮らしていた田舎の実家が、空き家のままになっている。帰るたびに草が伸びていて、どう処分すればいいのか頭を抱えている方も多いはずです。

実家を片付ける人

田舎の実家を処分したいのですが、家も土地も広いし、近所の人の目も気になります。何から考えればいいのか分かりません。

案内役

田舎の家は、都会の家と比べて敷地が広かったり、畑や納屋が付いていたりしますよね。まずは「家・土地・家財」の3つに分けて、それぞれの行き先を考えると見通しが立ちやすくなりますよ。

結論から言うと、田舎の実家の処分は「家・土地・家財」を分けて考え、売る・空き家バンク・解体・相続土地国庫帰属制度の順に、使える方法を探していくのが近道です。この記事を読めば、遠方に住んでいても進められる順番と、方法ごとの向き不向きが分かります。

目次

田舎の実家は「家・土地・家財」の3つに分けて考える

先に結論

田舎の実家を一つのかたまりとして考えると、話が大きすぎて動けなくなります。家・土地・家財に分けると、それぞれに合った行き先と相談先が見えてきます。

田舎の家の処分が難しく感じるのは、手放す物がいくつも重なっているからなんです。母屋のほかに納屋や物置があり、家の裏に畑や山林がある、という実家もよくありますよね。

分けるもの田舎の実家によくある姿主な行き先最初の相談先
家(建物)築年数が古い木造の母屋、納屋、物置家付きで売る、または解体する地元の不動産会社
宅地(家の建つ土地)敷地が広い、隣との境界があいまい売る、空き家バンク、国庫帰属制度不動産会社・法務局
田・畑・山林家と別の筆に分かれている売る、国庫帰属制度市区町村の窓口・法務局
家財部屋数が多く、蔵や納屋にも物がある残す、売る、処分する家族・買取店・許可業者

この表のどこから手をつけるかは、家族の事情で変わります。ただ、どの方法を選んでも、最初に名義を確かめておくことは共通です。

親の名義のままでは、家も土地も売れません。相続した不動産は、取得を知った日から3年以内に相続登記をする義務があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になることがあります。

家族で話す時は、決める順番を共有する

兄弟で田舎の実家の話をすると、『まだ早い』『思い出がある』と、話がなかなか進まないこともありますよね。そんな時は、いきなり結論を出そうとせず、決める順番だけを先に共有してみてください。

例えば「今年は名義と土地の確認、来年の春までに家財の整理、そのあと売るか残すかを決める」のように、区切りを置くだけでも気持ちが楽になります。

土地が何筆に分かれているかを確かめる

田舎の実家は、家の敷地と畑、山林などが別々の筆になっていることが多いんです。どの土地が親の名義なのかは、固定資産税の納税通知書や登記事項証明書で確かめられます。

例えばこんな場面です。「家の裏の畑も親の物だと思っていたら、名義は祖父のままだった」ということもあります。名義が古いままの土地は、相続登記をしないと売ることも国庫帰属制度に申請することもできません。

田舎の家の処分で選べる方法を、先に全部並べる

実家を片付ける人

田舎の家なんて、売れるとは思えません。売る以外に方法はありますか?

案内役

あります。不動産会社の買取や空き家バンク、解体して土地にする方法、国に引き取ってもらう制度もあるんです。手元にお金が残るか、遠方からでも進めやすいかで比べてみましょう。

方法手元にお金が残るか遠方からの進めやすさ先に済ませること
地元の不動産会社に仲介で売る売れれば残る内見の立ち会いを頼めれば進めやすい相続登記、査定
不動産会社の買取仲介より低めになりやすいが残る家財が残ったままでも相談できることがある相続登記、複数社の査定
空き家バンクに登録売れれば残る自治体とのやりとりが要る自治体の登録条件の確認
解体して土地で売る解体費がかかる分、残りは減る解体の立ち会いが要ることも家財の片付け、解体の届出
解体して国庫帰属制度に申請お金は残らず、手数料と負担金が要る法務局への申請は書類が中心解体、境界の確認
しばらく管理して残す入るお金はなく、税金と管理費が出ていく定期的に通うか、管理を頼む管理する人と頻度を決める
田舎の実家を処分する方法を比べた図解

『できるだけお金を残したい』のか『とにかく手放したい』のかで、選ぶ方法は変わります。家族で話す時は、この2つのどちらを優先するかを最初に決めておくと、話がまとまりやすいですよ。

売れない時の考え方は実家が売れない理由と対策でもくわしく紹介しています。

空き家バンクは、移住を考える人に届く

空き家バンクは、自治体が空き家の情報を載せて、買いたい人や借りたい人とつなぐ仕組みです。田舎暮らしを考える人が探しに来るので、地元の不動産会社だけでは届かない人に見てもらえることがあります。

国の「全国版空き家・空き地バンク」には1,153自治体が参加し、748自治体が物件を掲載しています。これまでに約28,000件が成約しています(令和8年9月末時点)。

登録の条件や流れは自治体ごとに違います。実家のある市区町村に空き家バンクがあるか、まず確かめてみてください。くわしくは空き家バンクで実家を手放すで紹介しています。

国庫帰属制度は、建物を壊してから

相続土地国庫帰属制度は、相続した土地を条件付きで国に引き取ってもらう制度です。令和5年4月27日に始まり、それより前に相続した土地も対象になります。

ただ、建物がある土地は申請できません。審査手数料は土地一筆あたり14,000円で、承認されたら負担金も納めます。宅地や田・畑の負担金は原則20万円ですが、市街化区域などでは面積に応じて計算します。

境界がはっきりしない土地などは申請できないので、まずは法務局に相談してみましょう。くわしくは相続土地国庫帰属制度とはで紹介しています。

田舎の実家を売却する時に、知っておきたいこと

ここが大事なところです

田舎の家は、買い手が地元の人か、移住を考える人かで売り方が変わります。売り出す前に、地元の事情をよく知る不動産会社に相談するのが第一歩です。

田舎の実家の売却は、都会の家と同じようには進まないこともあります。周りにも空き家が多く、買い手から見ると選べる家がたくさんある状態だからなんです。

総務省の令和5年住宅・土地統計調査では、一戸建の空き家は352万3千戸ありました。そのうち8割ほどは、売りにも貸しにも出ていない空き家です。

『こんなに空き家が多いなら、うちは無理かも』と感じますよね。ただ、隣の家の人が敷地を広げたいと考えていたり、地元で家を探している人がいたりすることもあります。

隣の家や地元の人に、声をかけてみる

田舎の土地は、隣の家の人が「畑を広げたい」「車を置く場所がほしい」と考えていることがあります。一般の買い手が見つからなくても、近所に欲しい人がいる、というのは珍しくないんです。

いきなり「買ってください」と頼むと、相手も身構えてしまいますよね。例えばこんな言い方なら、話を切り出しやすくなります。

「実家をこの先どうするか考えていて、もし土地を使いたい方がいたら教えてもらえますか」

「売ることも考えているので、気になる方がいたら不動産会社に話をつないでもらえると助かります」

近所の人と話がまとまりそうな時も、価格や引き渡しの条件は不動産会社や司法書士を通して書面にしておくと、後で行き違いが起きにくくなります。

古い田舎の家なら、空き家の特例を確かめる

田舎の実家は築年数が古いことが多く、空き家の3,000万円特別控除の条件に合うことがあります。使えれば、売った時の譲渡所得から最高3,000万円を差し引けます。

主な条件内容
建築の時期昭和56年5月31日以前に建てられた家
住んでいた人相続開始の直前に、亡くなった親以外に住んでいた人がいない
売り方耐震基準を満たして売る、または家を取り壊して土地を売る
売る期限相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(令和9年12月31日までの売却)
売却代金1億円以下
相続人の数令和6年1月1日以後の売却で、相続人が3人以上なら2,000万円まで

この特例を使うには、市区町村の「被相続人居住用家屋等確認書」を添えて確定申告をします。相続した時から売るまでの間に、家を貸したり住んだりしていると対象から外れるので気をつけましょう。

条件のくわしい見方は空き家の3,000万円特別控除とは、税金の計算は実家を売った時の税金で紹介しています。個別の判断は、税務署や税理士に相談してください。

田畑や山林が付いている時

田舎の実家では、家と一緒に田・畑や山林を相続することもありますよね。田畑や山林は、家と同じようには売れないことがあるので、売り方を不動産会社や市区町村の窓口に確かめておきましょう。

売るのが難しい場合は、相続土地国庫帰属制度も選択肢になります。田・畑はその他の土地と同じく負担金が原則20万円で、森林は面積に応じて算定されます。

遠方に住んでいても、田舎の家の処分は進められる

実家を片付ける人

実家まで片道で半日かかります。何度も帰れないので、処分なんて無理なんじゃないかと思ってしまいます。

案内役

帰省の回数を減らす工夫はできます。1回の帰省で何をするかを先に決めておくと、限られた帰省の回数でも、大きく進めることはできますよ。

遠方の実家で大変なのは、作業そのものより「行かないと進まないこと」が積み重なることなんです。電話やメールで済むことと、現地でしかできないことを分けておきましょう。

遠方から進める時の順番
  1. 自宅にいる間に、登記事項証明書と固定資産税の通知書で名義と土地を確かめる
  2. 1回目の帰省で、通帳・権利証・印鑑など大事な物を探し出し、家の中の写真を撮る
  3. 自宅から、地元の不動産会社に査定を頼み、売り方の相談をする
  4. 2回目の帰省で、家族で残す物を持ち帰り、出張買取の査定を受ける
  5. 残った家財は、市区町村の許可を持つ業者に見積もりを頼んでまとめて片付ける
  6. 売却や解体の立ち会いは、日程を合わせて1回で済むように段取りする
遠方から田舎の実家の処分を進める順番の図解

家の中の写真を撮っておくと、自宅にいながら家族と残す物を相談できます。不動産会社や片付けの業者に見積もりを頼む時も、写真があると話が早いんです。

遠方の実家の進め方は、遠方の実家じまいでもくわしく紹介しています。

鍵と郵便の扱いを決めておく

空き家にしたまま遠方に戻る時は、鍵を誰が持つか、郵便物をどうするかを決めておきましょう。親あての郵便物は、転居届を出すと届出日から1年間、新しい住所に無料で転送されます。

不動産会社に売却を頼んだ場合は、内見のために鍵を預けることもあります。預けた鍵の数と相手は、メモに残しておくと安心です。

家財は出張買取と許可業者で、まとめて片付ける

ここだけは先に

田舎の実家は部屋数が多く、蔵や納屋にも物が残っていることがあります。売れる物は出張買取で先に引き取ってもらい、残りを許可業者に頼むと、帰省の回数と処分する量の両方を減らせます。

家財が多いと、全部を処分に回したくなりますよね。ただ、古い家には、捨てる前に値段がつくか確かめたい物が眠っていることもあるんです。

例えば、タンスの奥のアクセサリーや、引き出しにしまわれた記念硬貨、床の間の掛け軸や骨董、桐の箱に入った着物などです。親が若い頃に買った腕時計が出てくることもあります。

出張買取を頼む時のルール

家まで来てもらう出張買取は、特定商取引法の「訪問購入」のルールが決まっています。知っておくと、安心して頼めます。

ルール内容
書面の交付業者は、契約の内容を書いた書面を渡す
クーリング・オフ書面を受け取った日から数えて8日以内なら、契約を解除できる
品物の引渡しを拒めるクーリング・オフの期間中は、品物の引渡しを断れる
勧誘の決まり頼んでいないのに訪ねてきて勧誘することは禁止されている

困った時は、消費者ホットライン188に相談できます。査定を頼んだ品物以外の買取をすすめられた時も、その場で決めなくて大丈夫です。

実家の品の出張買取の流れは、実家の品の出張買取でも紹介しています。

残った家財は、市区町村の許可業者に

売れなかった家財は、市区町村の粗大ごみの収集か、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者に頼みます。「無料で回収します」と回っている業者の中には、許可を持たないものもあると環境省が注意を呼びかけています。

片付けの費用は、物の量や間取り、運び出しの手間で変わります。地域の業者は、複数社から現地で見積もりを取り、追加料金の条件を書面で確かめて比べましょう。

『先に売れる物を抜いておくと、片付けの量も減るのか』と思った方もいるかもしれません。その通りで、処分に回す物が減れば、見積もりの中身も変わってきます。

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捨てる前に、実家の品の査定額を確かめる

金・貴金属やアクセサリー、ブランド品、時計、骨董品、古いお金なども、まとめて査定してもらえます。運び出しが大変な時は出張査定、まずは写真で聞きたい時はLINE査定も選べます。金額を聞いてから売るかどうか決めましょう。

査定料無料公式サイトで査定方法を確認する

買取の対象や条件は品物によって変わります。最新の条件は公式サイトで確認してください。

どんな物が売れるかは実家の片付けで売れるもの一覧で見られます。

すぐに処分できない時は、管理を続ける

すぐには売れない、家族の気持ちがまだ追いつかない、ということもありますよね。その場合は、処分の方法を探しながら、家を傷ませないように管理を続けます。

空き家は人が住む家より傷みが早く進みやすい、と国の指針でも言われています。換気や通水、庭木の手入れ、郵便物の確認などを定期的に行いましょう。

空き家の管理で続けたいこと
  • 窓を開けて風を通し、水道の水を流す
  • 冬は給水管の元栓を閉めて凍結を防ぐ
  • 伸びた庭木の枝が隣にはみ出していないか確かめる
  • 地震や大雨、大雪の後に、屋根や外壁を見に行く
  • 郵便物がたまっていないか確かめる

管理が行き届かず、市区町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地の特例が外れます。家が建つ土地は、200㎡以下の部分の課税標準が6分の1に軽くなっていますが、それがなくなるんです。

遠方で通えない時は、管理を人に頼む方法もあります。市区町村によっては、空き家の管理や相談を手伝う「空家等管理活用支援法人」を指定しているので、問い合わせてみてください。

管理の中身は空き家になった実家の管理で紹介しています。

田舎の実家についてよくある相談

ネットの相談サイトでも、田舎の実家や空き家の処分についての質問はよく見かけます。いくつかを要約して答えますね。

地元の不動産会社か空き家バンクか、決められない

どちらか一方に決めなくても大丈夫です。地元の不動産会社に仲介を頼みながら、空き家バンクにも登録できるかを自治体に確かめてみてください。

不動産会社は、地元の買い手や価格の目安に詳しいのが強みです。空き家バンクは、移住を考える人など、遠くの買い手に届きやすいのが強みです。

田舎の空き家の維持費は、どのくらいかかる?

固定資産税の額は、土地や建物の評価額で決まるので、家ごとに違います。毎年1月1日時点の所有者に、市区町村から納税通知書が届きます。

税金のほかに、草刈りや修繕、帰省の交通費などもかかります。年にいくら出ていくかを一度書き出してみると、残すか処分するかを決める材料になりますよ。

田舎の実家の解体には、支援の制度がある?

市区町村によっては、空き家の解体や活用の支援を用意していることがあります。支援の有無や条件は自治体ごとに違うので、実家のある市区町村に問い合わせてみてください。

解体する時は、床面積の合計が80㎡以上なら、工事に着手する日の7日前までに都道府県知事への届出が要ります。建物がなくなった日から1か月以内に、滅失登記も申請します。

支援の探し方は実家じまいに使える補助金はある?で紹介しています。

よくある質問

田舎の実家を売りたいのですが、名義が亡くなった父のままです。そのまま売れますか?

売れません。売る前に、相続した人の名義に変える相続登記が要ります。取得を知った日から3年以内に申請する義務もあります。

田舎の家の処分は、解体してからのほうがいいですか?

家の状態と、土地として買い手がいるかで変わります。解体すると固定資産税の住宅用地の特例が外れるので、先に不動産会社に土地の需要を聞いてから決めましょう。

田舎の空き家の売却で、不動産会社は地元と大手のどちらがいいですか?

決まった答えはありません。地元の事情に詳しい会社と、広く買い手を探せる会社の両方に査定を頼み、売り方の提案を比べてみてください。

畑だけを相続土地国庫帰属制度で手放すことはできますか?

田・畑も対象です。ただし境界がはっきりしない土地などは申請できないので、まずは土地がある都道府県の法務局の本局に相談してみましょう。

遠方なので、片付けの立ち会いができません。どうすればいいですか?

鍵を預けて作業を頼める業者もあります。その場合は、残す物と処分する物を写真や紙で分かるようにして、見積もりと作業の内容を書面で確かめておきましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 田舎の実家の処分は、家・土地・家財に分けて考える
  • 方法は仲介・買取・空き家バンク・解体・国庫帰属制度・管理して残すの6つ
  • 古い家なら、空き家の3,000万円特別控除の条件を確かめる
  • 遠方なら、1回の帰省でやることを決めて回数を減らす
  • 家財は売れる物を出張買取で先に引き取ってもらい、残りを許可業者に頼む

田舎の実家の処分は、一度に全部を決めなくても大丈夫です。実家じまい全体の流れは実家じまいの進め方を最初から最後までで確かめられます。売ると決めたら、実家を売却する流れも参考にしてみてください。

実家じまい.jp

実家じまい.jp 編集部

親の家(実家)の片付け・遺品整理・家財の処分と売り方・空き家の売却や解体・相続登記と税金まで、実家じまいの進め方を、公的機関の情報と各社の公式情報をもとに整理している情報サイトです。 公式サイト

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